EMCは米国時間10月22日、Cisco Systemsとの合弁会社であるVCEの株式のうち、Cisco保有分の大半を買い取ると発表した。なお、CiscoはVCEの株式の10%を保有し続けるという。今回の株式取得は第4四半期に完了すると見込まれているが、その詳細は明らかにされていない。
大局的に見た場合、EMCは一連のIT企業連合を作り出すという戦略の賭け金をさらに上積みしたことになる。VCEはクラウドコンピューティング用のベストオブブリード、すなわち最善の構成要素を組み合わせたコンバージド(統合)インフラストラクチャに特化した企業だ。VCEはCiscoとEMCのベンチャー企業として出発し、両社のシステムを統合した「Vblock」という製品を生み出している。VCEは複数ベンダーの製品をシステムとして組み合わせ、サポート窓口を1本化するかたちで顧客に販売している。これにより、CiscoとEMCの双方の製品販売がVCEによって後押しされる結果となった。
VCEを傘下に入れることで、EMCの柱は以下の4つになる。
- VCE
- EMC
- Pivotal Software(ビッグデータに注力する企業)
- VMware
批評家らは、EMCがこれらの事業を切り離すべきだとの意見を述べてきていたが、EMCは今回、彼らをあざ笑うかのような行動に出た。
EMCの最高経営責任者(CEO)Joe Tucci氏はアナリストらとの電話会議で、同社はVCEの経営権を手に入れることで、顧客のためのコンバージドインフラストラクチャの選択肢が拡充できるようになると語った。なお、EMCはVCEの従業員2000人を吸収する予定だ。
EMC Information InfrastructureのCEOであるDavid Goulden氏は、VCEを統合することで、EMCは「コンバージドインフラストラクチャ市場において明確なリーダーシップを発揮できるという利点を享受する」とともに、2015年の売上を伸ばせるようになると付け加えた。
VCEの顧客にとっては、大きな変化はないはずだ。VCEは同社のCEOであるPraveen Akkiraju氏の下、同じ組織体系を維持する。また、CiscoとEMC、VCEはエンジニアリングや再販、サポートに関する契約を更新した。VCEを競争の興味深い一例として見てほしい。EMC連合とCiscoとの間の競争は激しさを増すばかりだ。VMwareはソフトウェア定義ネットワークを推進してきている。一方、Ciscoはストレージ分野に進出し、EMCの競合であるNetAppと密接な提携関係を結んでいる。また、VCEのシステムはCisco自身の「Cisco UCS」シリーズというコンバージドインフラストラクチャ製品の代替と見なすこともできる。こういったことを考え合わせた場合、CiscoがVCEとのパートナー関係を維持し、その株式を保有しながらも、一部を精算するというのは理にかなっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。