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安全安心なIoT、カギを握るのは「信頼されるソフトウェア」:IPAのSEC所長

鈴木恭子

2015-10-08 14:00

 「2020年までに世界のIoT(Internet of Things)デバイス数は500億超、日本におけるIoTの市場規模は約16兆円に達すると予測されている。『3年以内にIoTによって自社の製品やサービスが変わる』と考える国内企業は52%超だ。多様なモノが相互接続する世界では、そのリスクを十分に理解し、対策を講じる必要がある」

松本隆明氏
IPA SEC所長 松本隆明氏

 そう語るのは独立行政法人情報処理推進機構(IPA)で技術本部ソフトウェア高信頼化センター(SEC)所長を務める松本隆明氏だ。

 同氏は、10月7日から4日間の日程で開催されている「CEATEC JAPAN 2015」で「IoT時代の安全・安心な『つながる世界』」と題して講演。安全な相互接続を実現するうえでのソフトウェアの果たす役割の重要性とともに、システム全体で安全性を担保する仕組みとその課題について講演した。

つながる相手先は安全なのか

 冒頭、松本氏は4月に発生した三菱電機製液晶テレビのトラブルを紹介した。同トラブルは、テレビが数分ごとに再起動を繰り返すというもの。原因は、ネットワーク経由で制御されていた内蔵ソフトウェアの不具合だった。

 「今や家庭の電化製品にはソフトウェアが組み込まれている。われわれはその事実を踏まえ、どんなリスクがあるのかを把握し、安心安全に運用できるよう施策を講じる必要がある」(松本氏)

 同氏は、サイバーフィジカルシステム(Cyber Physical System:CPS)によるデータ駆動型社会では、個々の製品が信頼性を向上させるだけではセキュリティ対策としては不十分であり、製品が他の機器と接続して稼働することを大前提に対策を講じる必要があると説く。そのためには、双方をつなぐソフトウェアの信頼性と安全性を高めることが重要であるというのが、同氏の主張だ。

CPSによるデータ駆動型社会の概念図。IoTのリスクは縦方向と横方向の2つの視点で考慮する必要があるという
CPSによるデータ駆動型社会の概念図。IoTのリスクは縦方向と横方向の2つの視点で考慮する必要があるという

 「モノがつながるリスクは2つの視点で捉えることが大切だ」と松本氏は語る。1つは産業界ごと、製造現場とセンターを連携する「縦方向の視点」。もう1つは、異業種間で異なる分野の製品を接続する「横方向の視点」だ。

 例えば、モバイルデバイスから自宅にある家電製品を制御したり、自動車のドアの開閉をしたりできる。これらは、モバイルデバイスとスマート家電、スマートフォンと自動車といった、異なる分野の製品を相互接続することで、新たな付加価値(サービス)を生み出している事例だ。

 松本氏は、「現在、課題として挙げられるのは、各業界が個別に接続の仕組み作りに注力していることだ。例えば、ドイツのIndustrie 4.0では、製造業向けにつながる仕組み作りに注力しているが、(そうした製造業機器が)スマホに接続されるという考えには及んでいない」と指摘したうえで「今後は各業界でバラバラに存在する規程を共通化していく必要がある」と述べた。

 松本氏が懸念するのは、安全性の基準が業界ごとに異なることである。例えば、自動車業界は安全性基準が厳しいものの、スマートフォンは自動車と比較し、その安全性は低い。「両者が接続された場合の安全性はどうなるのかは誰も考えていない。さらに、接続の検証や運用保守の整備も現時点では行われていない。今後はこうした環境を整備していく必要がある」(松本氏)

 また、1つの装置の故障が及ぼす影響範囲が拡大していることも、懸念材料となっている。個々の装置が独立して稼働していた時代は、故障した装置のラインが停止するだけだった。

 しかし、センサがすべての装置に接続されている環境では、1カ所の故障がライン全体に影響を及ぼす。この課題を解決するためには、自律制御の信頼性要件を確立することが重要であると松本氏は説く。さらに、データプライバシーやデータの信憑性も今後の課題になると指摘する。

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