マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らは、マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)を現在よりも最大で200倍高速化できるアルゴリズムを開発したと発表した。
MITのこのアルゴリズムは、ほとんどすべての計算モデルに適用できる。このアルゴリズムの目的は、問題中に存在する未知のパラメータの値を局所近似から推定することで、対象となる解を絞り込むというものだ。
発表のなかで、MITはこのアルゴリズムについて以下のように述べている。
このアルゴリズムは、モデルを複数回実行するなかで、いくつかの適切なデータ点を組み合わせていくことにより解、すなわち未知のパラメータそれぞれの確率分布をインクリメンタルなかたちで絞り込んでいくものだ。そういった点で、射撃時の標的を小さくしていくようなものだと考えてもよいだろう。
MITのこの研究成果は米統計学会(ASA)の学会誌で発表されている。
同アルゴリズムは要するに、標本化プロセスを高速化するとともに、統計学における有名な標本化モデルであるモンテカルロ解析の新たな地平を提供するものだ。このアプローチは事後分布から標本を抽出し、さまざまな入力に基づいたモデル計算を実行するという複雑な計算処理すべてで使用できる。また、このアルゴリズムは関連のあるデータを用いて、未知のパラメータの値を導き出すようになっている。
研究は、米エネルギー省が一部の資金を援助して実施された。今回のアルゴリズムは、南極の海氷の動きをシミュレーションするのに使われ、問題には24の未知のパラメータが含まれていた。このアルゴリズムは次に、超音速ジェット機の燃焼システムのモデルでテストされる予定だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。