アドビはビッグデータを活用し、米国の景気動向分析をしている。この「Digital Economy Project」は3つのデジタル指数によって実施される。指数はオンラインの物価変動を測定するのに利用される。
3つの指数は、オンラインの物価の変動を測定するDigital Price Index(DPI)、オンラインの住宅情報の検索数を測定するDigital Housing Index(DHI)、オンラインの求職活動の変化を測定するJob Seeking Index(JSI)。DPIの測定では、シカゴ大学ブースビジネススクール経済学教授で、オバマ米大統領経済諮問委員会の元委員長であるAustan Goolsbee氏と、スタンフォード大学経済学部教授であるPete Klenow氏との連携のもと行われた。
米国の小売業者上位500社に対しオンライン経由で費やされる10ドルのうち7ドル50セントが、Adobe Marketing Cloudを介している。DPIは、2015年1月から2016年2月にかけて、米国のWebサイトにアクセスした延べ80億人と140万の製品について集計した匿名データの分析に基づいている。
Adobe Digital Indexは、インフレの測定に実際の購入数を使用するフィッシャーの理想算式を採用している。DPIは、フィッシャーの理想算式を採用することによって、製品の価格が急騰しても、オンラインショッピングを行う消費者が適正な価格の競合製品や代用製品を見つけることを考慮に入れることができる。さらに、DPIは購入数量をリアルタイムで測定できるため、Adobe Digital Indexのブラックフライデーやサイバーマンデーのレポートでは、小売店が一斉に値下げを行う際の影響も正確に反映されている。
今回、電気製品と食料品のDPI分の分析結果が発表された。
- TechRepublic
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電気製品の価格は2015年1月から2016年1月の間で10.4%下落していることが分かった。CPIでは、電気製品全般の価格下落は示されていないが、2015年1月から2016年1月の間でPCは7.1%、テレビは14.4%の価格低下が発表されている。これに対してDPIでは、同期間でPCは13.1%、テレビは19.4%の価格低下を示している。
また、電気製品の対前月変化率では、2016年2月、テレビ、PC、スマートウォッチ、カメラなどの電気製品の価格は1月から0.6%低下し、最大の下落幅を示した。
食料品(自宅購入)では、DPIが、2015年1月から2016年1月の間で0.7%の物価上昇を示しているのに対し、CPIでは0.4%の物価下落が示されている。DPIは、オンラインで購入された約19万5,000の食料品の30~40%を対象として測定しており、オンラインで購入して実店舗で引き取られた食品で大きく構成されている。オンラインで購入された食料品の価格は2016年1月から2月にかけて0.2%上昇しており、価格の上昇はりんご、卵、肉、コーヒーで最大だった。
また、Digital Housing Index(DHI)では、2月の住宅の購入および賃賃物件情報のオンライン検索数は、前年比で20.5%上昇した。住宅情報の検索は2015年の春に急増し、4月と7月に検索件数が最多となった。8月には、住宅情報の検索は減少し始め、12月まで右肩下がりとなりました。住宅情報の検索データは、2014年12月から2015年12月にかけて米国の不動産情報のWebサイトにアクセスした延べ20億人から集計した匿名データの分析から取得している。
Job Seeking Index(SJI)では、2月の求職情報のオンライン検索が前年比で10.3%減少した。米国労働省労働統計局(BLS)によると、同時期の失業率は10.9%減少している。アドビのデータは、2014年12月から2016年12月にかけて、米国の求職情報のWebサイトと米国の一流企業の求人ページにアクセスした延べ10億人から集計した匿名データの分析から取得している。