インターネットイニシアティブ(IIJ)は7月19日、ネットワークとクラウドを融合させた新型IoTプラットフォーム「IIJ IoTサービス」を発表した。11月から提供する。このサービスは「IIJが初めてIoTを表明した最初のもの」(代表取締役会長 最高経営責任者=CEO 鈴木幸一氏)となる。
IoTは話題になっているものの、「現段階では一部大手企業がIoTを活用したビジネスを進めているが、調査会社のデータによれば5%程度に過ぎない。IoT活用が本格化するのはこれから。IIJはすでにIoTへの取り組みはスタートしており、本格的なIoT需要を支えるIT環境を提供していく」(クラウド本部副本部長 染谷直氏)とが本格化することを見込んでサービスを提供する。
IIJ 代表取締役会長CEO 鈴木幸一氏
具体的には(1)モバイル、エンタープライズなどへのコネクティビティサービス、(2)データハブやデータストレージ、デバイスマネジメントなどの機能を持ったプラットフォームサービス、(3)デバイスゲートウェイ機器――の3つを提供する。「独自技術を生かしてネットワーク、クラウド、デバイス管理を融合していく」(クラウド本部ビッグデータソリューション課長 岡田晋介氏)
サービスの提供価格は現段階では未定だが、デバイスゲートウェイ、モバイル接続、プラットフォームサービスで月額1000円程度を目指しているという。
リアルタイムデータでのリモートデマンド管理
今回のIoTサービスは、コネクティビティ、プラットフォーム、機器という3つを提供する。具体的には表1と表2の通り。
機能 | 概要 | |
---|---|---|
コネクティビティ | モバイル接続 | 低コスト、高品質、安全なモバイル接続・認証 |
プラットフォーム | データハブ | アプリケーションやクラウドへのデータ転送 |
データストレージ | ストレージへの格納とデータアクセス画面、API | |
データビジュアライザー | データ可視化、ビッグデータ解析(2017年提供予定) | |
機器 | デバイスゲートウェイ | センサ接続、無線接続用ゲートウェイ機器 |
「IIJではMVNO事業者として事業展開し、700万回線提供を目指し事業を進めてきた、そこで培った投資と設備をフル活用し、IoTに最適なモバイル環境と、全てにつながるネットワークサービスを提供していく」(岡田氏)
機能 | 概要 | |
---|---|---|
コネクティビティ | プライベートモバイル接続 | ユーザー企業専有型のモバイルネットワーク接続 |
エンタープライズ接続 | ユーザー企業環境とのWAN、VPN閉域接続 | |
クラウドエクスチェンジ | Azureをはじめとした外部クラウド閉域接続 | |
プラットフォーム | デバイスマネジメント | デバイスゲートウェイ機器の監視と管理、リモート設定更新 |
デバイスコントロール | デバイス制御、状態通知、自動管理 | |
機器 | デバイスエージェント | リモートメンテナンス、双方向通信プログラム |
IIJ クラウド本部副本部長 染谷直氏
IIJ クラウド本部ビッグデータソリューション課長 岡田晋介氏
「プラットフォームでは5つの機能を提供する。これまで独自開発のルータ、自動接続と集中管理を担うフレームワークなどの技術を今回IoT用のフルマネージメントサービスとして提供する」(岡田氏)
独自開発したデバイスエージェントソフトウェアを利用することで、設定更新などリモート管理とデバイス制御の双方向通信機能を提供する。
「当社のソフトを利用せず、お客さま自身が開発したソフトウェアを使うことも可能となる。ただし、当社のソフトウェアを利用することで、すぐに利用できるプラグ&プレイを実現する」(岡田氏)
電力事業の取り組み技術を応用したリアルタイムデータ可視化機能で流れているセンサデータを把握し、そこにビッグデータ関連技術を組み合わせることで予兆監視や自動制御といった、センサデータから人手を介さずにコントロールできる機能を提供する。
機器については、ルータ型とLTE内蔵タイプを含めたIoTゲートウェイを独自開発し提供する。申し込み後、機器が届いてつなげばすぐに利用できる手軽さをアピールポイントとしていく。
活用イメージとしては、IaaS上の業務システムと連携したデータ活用、リモート管理や自動通知による複数拠点の機器設定更新や故障をアラーム通知することで運用コスト改善、リアルタイムデータを用いたリモートデマンド管理などを想定している。
IIJは今回のサービスを皮切りに、自立分散型クラウド基盤の提供、アナリティクスによる制御管理自動化、ソフトウェアSIM、独自モバイル網などの提供も検討していく。
IoTサービスの活用イメージ