矢野経済研究所は8月9日、国内のITアウトソーシングサービス市場の調査結果を発表した。ITアウトソーシングサービス全体の2015年度の市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比100.2%の3兆8434億円となった。
システム利用企業内にあるシステムの運用保守を代行する「オンサイト運用・保守サービス」と、データセンター内にあるシステムの運用保守を代行する「データセンター関連サービス」を対象とし、サービス提供事業者の売上高ベースで市場規模を算出している。
ITアウトソーシングサービス市場規模推移と予測
2015年度の市場規模をITアウトソーシングサービス全体として見た場合は微増の推移であるが、内訳を見ると、オンサイト運用・保守サービスからデータセンター関連サービスへの切り替えやシフトが進んでいる状況が見えるという。
2015年度のオンサイト運用・保守サービス市場(事業者売上高ベース)は前年度比96.2%の1兆7505億円と減少、この縮小傾向は今後も続き、2019年度の同市場規模は1兆5950億円に減少すると同社は予測している。その一方で、利用が伸びているのがデータセンター関連サービスである。2015年度のデータセンター関連サービス市場(事業者売上高ベース)は、前年度比103.9%の2兆929億円となった。今後をみても、2014年度から2019年度までの年平均成長率は3.6%で推移し、2019年度の同市場規模は2兆4035億円になると予測している。
近年では特にパブリッククラウド(サービス提供事業者のクラウド基盤)の利用が順調に伸び、また同時にサービスの多様化も進んでおり、ユーザー企業が利用するクラウドサービスのマルチベンダー化が進んでいるという。
これに伴い、クラウド環境の統合管理のニーズも高まっていくが、今後は1社のサービスベンダーにすべてを任せるよりも、複数のクラウド環境を統合マネジメントしていく方向に進むと同社は予測している。
今後のITアウトソーシングサービス市場全体の規模については、2014~2019年度までの年平均成長率は3.6%で推移し、2019年度には2兆4035億円になると予測した。
調査はこの5月から7月メールや電話、対面などで実施、事業者売上高ベースで市場規模を算出した。