ミック経済研究所によると、ITサービス51社の売上合計は重複(下請分)を除いたネットで2015年度8629億円となり、総市場13兆6390億円の63.3%をカバーする。10月6日に発表した。
ITサービス総市場は2015年度に前年比2.5%増の13兆6390億円、2016年度は同2.1%増見込の13兆9300億円と堅調に推移している。2019年度にはピークアウトの2008年度(リーマンショック)の市場規模14兆5500億円を超えると予測している。
同社はシステムの開発、保守運用、アウトソーシングなどのITサービス市場全体を俯瞰したマーケティング資料「ITサービス市場の実態と展望 2016年版」(第17版)を9月に発刊。5~8月に51社の国内の大手システムインテグレーター(SIer)を調査した収録個票の数値を積み上げて全体を推計。調査対象年度は2014~2016年度の3カ年で、2023年度までを予測している。
システム開発サービスとSaaS/PaaS/IaaSの指数(2014年度100.0%、ミック経済研究所提供)
ITサービス総市場の伸びをもたらした原動力の一つが、総市場の51%台を占めるものの長期的に低迷していた開発サービスで、リーマンショック以降初めて、年率2.0%程度以上の伸び率が2014年度より3年間連続で続いている。
2014年~2016年度の3年間は、メガバンクや大手証券保険、グローバル製造業で大型システム開発案件があったほか、公共自治体でマイナンバー関連のセキュリティソリューション構築、導入が多数発生した。代表的なものとしては、みずほフィナンシャルグループのシステム統合案件、ゆうちょグループの基幹システム更改案件があり、グローバル製造業ではグローバルサプライチェーンの構築が行われている。
システム開発サービスの指数は、2014年度を100%として10年後の2023年度には112.8%となる。
原動力の二つ目がクラウドサービスで、年率2桁の高成長を2019年度まで続けると同社では予測している。2014年~2016年度の3年間は20%以上の成長であり、その要因は“所有から利用”という時代のトレンドに加え、従量課金制の使い勝手、運用サポート支援、価格、事業継続対策などのメリットを挙げている。
クラウドサービスの中で、また全てのITサービスカテゴリの中でIaaS/PaaSが最も成長している。2015年度と2016年度は年率30%以上の伸び率で、市場規模は2015年度で2000億円を超えている。
シェア1位のアマゾンデータサービスジャパンと、2位のNTTコミュニケーションズの伸び率は2015年度60.0%増、2016年度で50%増を超えている。日本マイクロソフトはシェア11位であるが、前年対比で2015年度209.4%、2016年度161.2%と全ての参入ベンダーの中で最も伸長した。
2014年度を100%とした、10年後の2023年度指数は上図のように286.6%と断トツの伸び率を示している。