なぜブロックチェーンはOSSプロジェクトで運営するべきなのか

赤井誠 2016年12月08日 07時00分

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 Linuxの普及をサポートする非営利団体であるLinux Foundationは11月15日、「Open Source Forum 2016」を国内で初めて開催した。

 Linux Foundationは、近年Linux以外にも注目を浴びる各種のオープンソースソフトウェア(OSS)プロジェクトを協業プロジェクトとして支援している。現在最もホットなテクノロジ分野であるコンテナ、ブロックチェーン、セキュリティに関する協業プロジェクトではCloud Native Computing Foundation、Open Container Initiative、Hyperledger Project、およびCore Infrastructure Initiativeがある。

 本稿では、ブロックチェーン技術の標準化を実施するHyperledger Projectのセッションの様子を紹介する。Hyperledgerプロジェクト プレミアメンバーであるDIGITAL ASSET社のDan O'Prey氏が、「なぜビジネスはブロックチェーン技術を必要とするか」と題して、企業が新しいブロックチェーンプロジェクトを必要としている理由、Hyperledgerプロジェクトの概要や事例について講演した。


DIGITAL ASSET社のDan O'Prey氏

 「既存のブロックチェーンテクノロジは、エンタープライズでの利用を想定して設計されていない」とO'Prey氏。スループットに制限があり、トランザクション処理速度が遅い、仮想通貨向けに設計され、プライバシー保護に弱いなどの問題があるというのがO'Prey氏の指摘だ。そして、このような課題を解決するため、スタートしたのがHyperledgerプロジェクトであると説明した。


既存のブロックチェーンテクノロジの問題点

 続けて、HyperledgerがOSSプロジェクトで運営されている理由として、新しく、革命的なポテンシャルを持つテクノロジであること、開発するには複数のスキルセットが必要であること、複数のグループが利用すること、そして、1社だけでコントロールされないためであり、しっかりとしたガバナンスが必要であるからと述べた。


HyperledgerがOSSプロジェクトで運営さている理由

 現在順調にHyperledgerの元でさまざまなソフトウェアが開発され、提供されている状況である。

 講演の中では金融サービスを中心に多くの事例が紹介されたが、興味深いものでは、製造から物流までをカバーするサプライチェーンソリューションや、さまざまな医療機関でカルテを共有することができるようなヘルスケア分野での利用であろう。


サプライチェーンソリューションでのブロックチェーンの活用

医療機関でカルテを共有するブロックチェーンの利用事例

 一般には、ブロックチェーンは金融サービスに利用されるテクノロジであるという認識をしている人も多いだろうが、O'Prey氏によれば、金融分野以外でもさまざまなユースケースが考えられるという。今後の利用分野の拡大には注目すべきだろう。

 現在、Hyperledgerプロジェクトのプレミアメンバーは13社、ジェネラル78社が加盟している(国内からはプレミアメンバーとして、富士通、日立、ジェネラルメンバーとして、NEC、NTTデータ、ソラミツが参加)。

赤井誠(あかいまこと)
日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)で、ソフトウェアR&D、事業企画、マーケティング部門を歴任。2003年からLinuxビジネス立ち上げのリーダーとして、日本HPのLinuxへの取り組みを主導した。また、x86サーバを活用したハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)事業を立ち上げてた。2011年4月 MKTインターナショナル株式会社を起業し、現職。キャリアデベロップメントカウンセラー、ライターとしても活動している。著作・訳書に、『マックで飛び込むインターネット』(翔泳社)、『リーダーにカリスマ性はいらない』(中経出版)、『MySQLクックブック』(オライリー・ジャパン)、『JBoss(開発者ノートシリーズ)』(オライリー・ジャパン)など多数。

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