IBMと物流大手のMaerskは米国時間3月5日、物流サプライチェーンにおけるトランザクションの運用と管理、追跡にブロックチェーン技術を利用するための提携を発表した。
両社は、船荷主や海貨業者、貨物船業者、港湾関係者、税関と協力し、国境をまたがるトランザクション向けのブロックチェーンツールの開発を目指して力を合わせてきたと述べている。
両社によると、オープンソースの「Hyperledger Fabric」をベースにして構築されるこのブロックチェーンソリューションによって、紙ベースの書類による手作業が大半を占める処理をブロックチェーン技術で置き換え、透明性とデータ共有の安全性を向上していくことが狙いだという。
MaerskとIBMは、物流のサプライチェーンと協力していくことで、2017年中にブロックチェーンによるデジタルプラットフォームの実働に入りたいとしている。
ブロックチェーンは、プライベートかつセキュアなトランザクションによって、手続きのデジタル化とともに、詐欺行為の抑止、在庫管理の強化、時間とコストの節約をもたらすという点で、サプライチェーンで応用できる将来性を有している。
取引書類の処理における可視性とワークフローを向上させるだけで、莫大なコストを節約できる。以下は、物流という分野でブロックチェーンプロセスがどのように力を発揮するのかをまとめたものだ。
- ブロックチェーンによって、取引の関係者それぞれに可視性がもたらされる。
- サプライチェーンのエコシステム内の関係者は、税関手続きの状況や、積み荷の明細書、その他のデータなど、ネットワークを通じて積み荷の進捗状況を確認できる。
- サプライチェーンのイベントやドキュメントがリアルタイムでやり取りされる。
- ネットワーク上で他者からの合意が得られない限り、誰も記録の修正や削除、あるいは記録の追加を行えない。
- 透明性の高さにより、詐欺の抑止や、積み荷の配送時間の削減が実現される。
サプライチェーンのサービス部門を擁するMaerskと、IBMはMaersk Lineコンテナ船やオランダのロッテルダム港、米ニュージャージー州のニューアーク港、オランダ税関局などを交えていくつかの概念実証(PoC)パイロットプログラムを実施してきている。欧州連合(EU)のリサーチプロジェクトの一環として実施されたこのパイロットプログラムには、米国の当局も複数参加している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。