クラウドプロジェクトや自動化プロジェクトで、IT責任者の影響力が高まっている。
「最高情報責任者(CIO)が出世していく素晴らしいチャンスが存在する。デジタルリーダーたちが取締役会に呼ばれて、変化について話すようになっている」
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人材紹介などを手掛けるHarvey Nashとコンサルティング会社のKPMGがまとめた調査結果「CIO Survey 2017」によると、テクノロジ部門の最高幹部陣の影響力は従来のIT部門を超えて、より広範なビジネスまで拡大しているという。
世界の4498人の最高情報責任者(CIO)を対象としたこの調査によると、全社的なデジタル戦略を持つ組織の割合は、わずか2年間で52%増加したという。89%ものCIOが革新への投資を維持、または拡大している。
こうしたデジタル戦略への取り組みの焦点は依然として、テクノロジを通して長期的な事業成長を実現するための基盤の構築が中心になっている。例えば、半数以上(52%)のデジタルリーダーは、自らの組織の革新と適応に役立つ俊敏なテクノロジプラットフォームに投資している。
したがって、CIOは最前線でプロジェクトに取り組むというより、新しいシステムやサービスが利用可能になるたびに、自らの組織がそれらを利用できるように支援している。このために、ビジネスモデルの「Uber化」を示す兆候はあまりないようだとJonathan Mitchell氏は述べる。Mitchell氏は元ITリーダーで、現在はHarvey NashでグローバルCIOプラクティス担当の非業務執行取締役を務めている。
何かを急激に変えるのではなく、CIOは自らの組織が技術革新を最大限に利用し、容認できるレベルの実験ができるように支援している。早期に失敗することを恐れるなと何年も言われ続けたことで、今のCIOは慎重ではありつつもリスクを歓迎しているようだ。「『ノー』と言うことを好む組織はなくなりつつある」とMitchell氏は述べる。
肯定的な態度は大きな威力を発揮するので、約5人に1人(18%)のCIOが、自社に「非常に効果的」なデジタル戦略があると回答している。これらのITリーダー(ITに対応した事業革新の先頭に立っているとみなすべき人々)は2つの重要な分野、つまりクラウドコンピューティングとさまざまな事業機能の自動化に関して提案をすることが多い。