インフォアジャパンは6月15日、大規模組み立て製造業向けSaaS ERP「Infor CloudSuite Industrial Machinery」の日本での提供を6月15日に開始したと発表した。
CloudSuite Industrial Machineryは、Inforが提供するクラウドアプリケーション群の1つ。産業用機械や大型設備機器などの大規模組み立て製造業向けの機能をパッケージしたもの。
日本法人社長であるインフォアジャパンの新造宗三郎氏
グローバルに展開する企業に求められる財務管理、サプライチェーン、生産管理、プロジェクト管理、製品設計、品質管理といった製造業で必要な機能で構成している。ERPが国ごとにサイロ化しないように、マルチサイトにも対応している。
日本の先行導入企業では、旧Baanとして知られるオンプレミスソフトウェア「Infor ERP LN」から、CloudSuite Industrial Machineryの導入によって、クラウドに完全移行した。グローバル化を目指し、海外拠点数社のデータをアジア太平洋拠点に集約し、シングルインスタンス・マルチクラウドによって、データ連携のリアルタイム性を持ちながら分析する。
加えて、サプライヤー連携、コンフィグレーション管理といった機能も提供することで、グローバルでの経営情報の可視化、スピードの向上を促していく。
自動車を含め、日本を代表するような大規模な企業が多い組み立て製造業の領域。日本法人社長であるインフォアジャパンの新造宗三郎氏は、日本での戦略について「業界特化ソリューションの浸透、グローバルビジネス展開の支援、クラウドソリューションの推進」の3つを挙げる。2017年度の実績で、業界特化ソリューションが30%伸び、そのうち25%が新規顧客だったとしている。
まだ、90%の企業がオンプレミスを利用しているとする新造氏。現状1割にとどまるクラウドユーザー比率を「3年後に25%にしたい」と話している。
生産管理において、需要予測や生産計画の立案などは処理が重くなる傾向がある点について、「インフラとしてAWSを採用しており、機動的な対応ができる」と新造氏。
また、オンプレミスからクラウドへ移行する際のチェックポイントになり得るSLAについて、インフォアジャパンのエンタープライズクラウドソリューションアーキテクトの河西学氏は「稼働率としては99.5%と低い数値だが、処理領域の切り分けなどさまざまな方法を使うことで解決する」といった方法で、ユーザーと話し合いをするという。
オンプレミスからクラウドへ移行する際には、パフォーマンスや稼働率といった性能や可用性に関する状況を把握する必要がありそうだ。
導入企業例として、Inforの北アジア地域担当マネージングディレクター、Graham McColough氏は香港のアパレル企業TALによる導入事例を紹介した。TALは2009年に「Infor M3 v7.1」を導入。高額なハードウェア保守費用が必要であったこと、よりファッション業界に特化したERPが必要だったこと、それまでの仕組みでは将来的なインフラ拡張要件を満たせないことなどをきっかけに、クラウド化に踏み切った。
移行は、InforのLift&Shiftによって計画的に実施。SaaSに移行したことにより、ハードウェア更新費が200万ドル、年間保守費用は30万ドル削減できたとしている。