ベンダー各社は、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)のハードウェアやアプリケーションに巨額を投じているが、企業はまだVRとARのメリットを見出そうとしている段階のようだ。
調査企業のCCS Insightは、2017年に企業が購入したARスマートメガネは2万4000台だったと推計している。
CCS Insightのウェラブル担当シニアアナリストであるGeorge Jijiashvili氏は、「ARの可能性は明確だが、これまで企業の多くはこの技術が自社のオペレーションにどのように適応できるかを数台で評価しているところだ」と述べている。
ARはヘッドセットを利用して現実世界にデジタルなオブジェクトを重ねて表示できることから、企業が採用しやすいと考えられている。作業中の機械とともに修理に必要な手順を同時に確認しなければならないメンテナンスや、建物に加える新しい機能について作業する建築などの現場での利用に役立つ可能性がある。
CCS Insightは、今後数年で企業は限定的な試験から、より広範な導入へ移行し、2022年には販売台数が100万台に達すると予想している。大きな数字かもしれないが、スマートフォンやノートPCへの支出と比べるとわずかだ。少なくとも企業向けとしては当面、ARはニッチなテクノロジにとどまる可能性もある。
一方CCS Insightは、コンシューマー向けのスマートメガネはより成功を収める可能性があるとしている。2022年には、コンシューマー向けARスマートメガネの販売台数が450万台になると予想している。しかしJijiashvili氏は、Appleなどの大手企業が大きな鍵を握るとみている。
「Appleのような大手企業が市場に参入すれば、スマートメガネはすぐに数百万台の市場に到達するだろう」とJijiashvili氏は述べている。
CCS Insightは、2018年のVRとARのヘッドセットの合計販売台数を2200万台と予想している。
また今後5年の間、VRとARのヘッドセットデバイス市場は年間平均で50%成長し、2022年には販売台数が1億2100万台、市場規模は99億ドルに到達するとみている。
販売台数の大半は、より高度なスタンドアロンのデバイスではなく、ユーザーが内部にスマートフォンを入れて動かす比較的ベーシックなヘッドセットになるだろう。
こうしたベーシックなヘッドセットは価格が安い傾向があり(エントリーレベルの最も低価格な製品で約1500円というものもある)、2022年には販売台数の63%を占めるが、同年の市場規模ではより高価な専用デバイスが63%を占める見通しだ。
VRへの関心は、多くがゲームに向けられているが、ほかの利用事例も出てきているとCCS Insightは述べている。たとえば、バーチャルな観光、音楽のコンサートのリモート鑑賞やスポーツイベントのリモート観戦、あるいはスマートフォンベースのヘッドセットでよく利用されるようになった動画の視聴といった用途だ。Jijiashvili氏は、スタンドアロンのヘッドセットが、特に企業や教育現場でVRの訴求力を高める可能性があると述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。