富士通は5月14日、ブロックチェーン技術を利用して異業種間でのデータ流通や利用を支援するクラウド型サービス「FUJITSU Intelligent Data Service Virtuora DX データ流通・利活用サービス」の提供を開始した。企業や組織が保有するデータの価値を安心・安全に配慮して可視化し、データの概要情報を活用することで、業種の垣根を越えたビジネスのコラボレーションを可能にするという。
新サービスでは、富士通研究所が独自に開発した「富士通VPXテクノロジー」を実装している。同技術は、ブロックチェーンの機能を拡張することで、企業や組織の外部環境にデータの本体を置かずに企業間のデータ取引を可能にするもの。東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻の大澤幸生教授が考案したデータ記述形式「データジャケット」を用い、データにひも付くIDや属性情報、データの内容や収集方法などといった概要情報を、共通のデータ活用を目的とするグループの「Virtuora DX」内のコンソーシアムに登録する。
データジャケットとして登録された情報は、「KeyGraph」と呼ばれる技術で自動的にテキストマイニングされ、関連するデータ同士のつながりを可視化した形でコンソーシアム内に共有される。コンソーシアムの参加者の間でこうしたデータを活用することにより、新たなサービスやビジネスを共同で実現していけるとしている。
新サービスのイメージ(出典:富士通)
サービス提供の背景には、5月25日に欧州で施行される「一般データ保護規則(GDPR)」や日本の改正個人情報保護法などで、個人に関するデータの適切な保護と第三者提供などデータの流通や利用に関する規定が定められたことがある。同社では、こうしたデータや情報の安全性確保や配慮を適切に行った上で、業種や業界を超えて共有、活用していくことが重要だと提起する。
富士通では今後、Virtuora DX参加者が登録の属性情報から必要なデータを検索して、該当するデータの提供者に利用を申請し、データの提供者が承認して申請者に該当するデータを暗号化した上で提供する機能などを追加していく予定。基本サービス(イノベーターライセンス)の利用料は、10IDの場合で月額12万5000円から、閲覧やチャット機能などに権限を絞ったライセンス(メンターライセンス)では50IDで月額7万円となる。同社は2020年度末までに累計5000社への販売を見込む。