「2018年のITは?」と問われたときに、何を思い浮かべるだろうか。そして、2019年はどうなっていくだろうか。朝日インタラクティブが運営するオンラインメディア「ZDNet Japan」と「TechRepublic Japan」の両編集長が語る、2018年と2019年を全4回にわたり、両媒体にてお届けする。
(左から)TechRepublic田中編集長、ZDNet國谷編集長 撮影:山川晶之 (編集部)
田中 好伸(TechRepublic Japan編集長):ZDNetとTechRepublicは方針や対象読者は異なるけど、企業で活用するITがテーマ。ZDNetの観点から見ると2018年はどうだった?
國谷 武史(ZDNet Japan編集長):テクノロジとビジネスの動向を追うZDNet編集部の観点から見ると、エンタープライズビジネスへのIT活用にどうしても欠かせない“ガバナンス”という要素が大きくスポットライトを浴びた年だったと思います。
ビジネスへのデータ活用と相反するコンプライアンス
TR田中:欧州のGDPR(一般データ保護規則)のような、データのビジネス活用とコンプライアンスの問題ということ?
ZD國谷:その通りです。特にユーザー系企業にソリューションを提供するベンダーの上流工程側やコンサルティングで顕著だったと感じていますが、新しいビジネスにデータをどう活用するかというデジタルビジネスへシフトする動き、枠組みが構築されつつ、GDPRのような“自由に使わせすぎない”という、逆の動きも進んだ印象があります。これらが合わさって、ルールに基づいてデータを使うための枠組みという基本的な部分が構築されていったように思います。
同時に、一般的な関心の多くは罰金や規制などの負の側面に集中しました。ITを使うニーズと弊害のバランスの重要性が浮き彫りになりましたね。GDPRとしてみれば5月25日に施行されて以降、実際に制裁が発動するような状況はまだ起きていないので、初期として一段落したと感じています。
しかし、その後は欧米でFacebookのデータの不適切なデータ利用を指摘されるといった事態が生じ、プライバシーデータをめぐる話題にシフトしていきました。テクノロジのビジネス活用という観点では、水を差される結果になった機会が多かった印象ですね。