日本IBMは2018年11月23日に人工知能(AI)を活用したビジネスインテリジェンス(BI)ソフトウェアの最新版「IBM Cognos Analytics v11.1」リリース。クラウドで稼働するWorkgroup EditionやEnterprise Editionとは別に、機能制限なしで1ユーザーあたり税別月額9700円で利用可能な「Premium Edition」が2019年1月18日に加わった。
金融系企業上位4社中3社、省庁でも12府省中6府省が採用するというCognos Analytics。その歴史を振り返ると、1969年設立のCognosは2008年にIBMが買収しており、50年の歴史を誇る製品である。
2019年1月18日に開いた記者会見の中でIBMクラウド事業本部 アナリティクス事業部 Products&Solutions 統括部長 村角忠政氏は「日本でも大手企業を中心に採用いただいている(IBM Cognos Analyticsは)デファクトスタンダートと考えてよい」と強気の姿勢を見せた。
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日本IBM IBMクラウド事業本部 アナリティクス事業部 Products&Solutions 統括部長 村角忠政氏
Cognos Analytics v11.1は以前から備えてきた、企業が生成したデータを一元的に可視化する“エンタープライズBI”機能に加え、昨今次々と登場する“セルフサービスBI”関連機能を大幅に拡張したバージョンである。「データの自動加工・結合・モデリング」「データの内容・相関を自動解析」「可視化・分析手法を自動選定」「自然言語の応答で可視化・分析」といった機能をAIで実現するという。
日本IBMはセルフサービスBI市場を成長分野に位置付けるものの、顧客からは多くの課題を耳にすると説明する。「セルフサービスBIの導入は数十人の部門単位で導入するケースが多く、同じ企業内でも異なるセルフサービスBIが存在するなど、ガバナンス面の問題があるとともに、利用にも一定以上のスキルを求められるといった複数の課題を抱える」(村角氏)利用者への回答が今回のバージョンアップだと語った。
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Cognos Analytics v11.1の主な新機能
前メジャーバージョンとなる10はCognos Business Intelligenceという名称だったが、2015年10月に現在の名称に改称している。つまり4年ぶりに刷新したのがCognos Analytics v11.1だ。
バージョンアップのポイントについてIBMクラウド事業本部 アナリティクス事業部 ダッシュボード・サイエンティスト 木戸隆治氏は「Cognosシリーズは伝統的にレポーティングやダッシュボードに強く、ライトユーザーが多かった。世の中の8~9割を占めるライトユーザーにBIを使ってもらうため、AIでセルフサービスBIの壁を破る」と新機能をアピールした。
「データの自動加工・結合・モデリング」と「データの内容・相関を自動解析」は、あらかじめ用意したファイルをアップロードするだけで自動的に解析し、収益や顧客清算価値といった項目の相関関係を抽出する仕組みを指す。