RPA(ロボティックプロセスオートメーション)ソフトを提供するBlue Prismは1月31日、新たな事業戦略「Connected-RPA」に関する記者説明会を開催した。クラウドや人工知能(AI)、コグニティブ技術を組み合わせることで業務の自動化を進め、定型作業から解放された従業員が新しいイノベーションの創出に取り組むことを可能にする。
Connected-RPAの構成要素となるのが、(1)Blue Prism Connected-RPAプラットフォーム、(2)Blue Prism Digital Exchange(DX)、(3)Blue Prismコミュニティー、(4)Blue Prism AI研究所――の4つだ。
Connected-RPAの構成要素
Blue Prism Connected-RPAの特徴は、IT部門によるガバナンスとセキュリティを維持しながら、ビジネス主導型による業務の自動化が可能な点にあると英Blue Prism Group チーフエバンジェリストのPat Geary氏は説明する。
「日本ではデスクトップ型RPAが主体だ」と指摘し、個人の生産性を高めるには役立つものの、企業全体での活用には課題が残る。全社展開を進めるのであれば、システム変更やプロセス処理、アクセス権限などを一括管理できるサーバ型製品が適している。
最新版になる「Blue Prism v6.5」では、日本語と簡体字中国語に完全対応する機能を備えるほか、IPv6対応やデータ管理の強化が図られている。
英Blue Prism Group チーフエバンジェリストのPat Geary氏
Blue Prism DXは、300社超の登録企業と1000人超のユーザーが参加するオンラインコミュニティー。MicrosoftやGoogle、IBMをはじめとするITベンダーがAI/機械学習、OCR(光学文字認識)、コグニティブ機能を提供する。ダウンロードした部品は、ドラッグ&ドロップでプロセスやオブジェクトに組み込める。
Connected-RPAを推進するに当たって、「Blue Prism DX 2.0」へと機能強化が図られた。評価やコメントを付けられるソーシャル機能と、サイト上で売買できる電子商取引(eコマース)機能を追加する。eコマース機能を通じて、パートナーと開発者は、コミュニティー内で営業や販売が行えるようになる。
また、RPAの適用可否を診断する無料のオンラインツール「プロセスディスカバリツール」を提供する、自動化の準備状況や導入のしやすさ、見込まれる効果についてプロセスを評価し、ふるいにかけて優先順位を付けるのに役立てられるようになっている。
Connected-RPAの構成要素の中でも大きな注目を集めたのが、Blue Prism AI研究所の設置だ。同社RPAプラットフォームに組み込むAI機能を開発する専門部隊であり、さまざまなAI分野にわたる博士号レベルのスタッフをそろえているという。
同社はこれまでパートナー企業によるベストオブブリードのAI戦略を採ってきたが、今回はこの方針を転換する動きとなる。同研究所で開発されたAI技術は積極的に製品に組み込まれていくことになる。
その第1弾としては、AI搭載型の文書処理機能(AI OCR)「インテリジェント文書処理」が近日中に提供が始められる。Blue Prismの文書処理ワークフローに組み込まれた機能で、非構造化データの分類などが可能になる。
「Connected-RPAは、ITガバナンスの下、ビジネス主導で高度な自動化を可能にし、従業員に“デジタルイノベーター”としての力を与えるものだ」(Geary氏)
Connected-RPAのロードマップ