デルとEMCジャパン(デル テクノロジーズ)は3月13日、両社共同での2019年度事業方針説明を行った。顧客企業の多くがデジタル変革への取り組みに乗り出しているとして、2019年度はその具体化フェーズにソリューションの展開や支援に注力するという。
2019年度の事業戦略を共同で説明したデルの平手社長とEMCジャパンの大塚社長(右)
まず、2018年度の事業実績ではグローバルおよび日本とも主要な評価項目の多くで2桁成長を達成した。グローバルでは売上高が前年比15%増の約906億ドル、ITインフラ関連ソリューションは同19%増、サーバおよびネットワークは同28%増だった。日本でもサーバ、ストレージ、法人向けPC、サービス、OEMおよびIoTの各分野が前年比25~53%増の進ちょくを見せた。
グローバルの動向に関してデル 代表取締役社長の平手智行氏は、「企業がデータ分析から新しいビジネスの価値を創造し、商品に展開して顧客体験を高め、顧客の反応といったデータを再び分析するサイクルが加速している」と説明。従来のデジタル変革の取り組みは、このサイクルを構築することが主流だったが、現在はサイクルを回す段階に移行し出したという。
2018年度のグローバルでの業績ハイライト
2018年度の日本での業績ハイライト
国内動向についてEMCジャパン 代表取締役社長の大塚俊彦氏は、2018年度に定めた「デジタル」「IT」「働き方」「セキュリティ」の4つの領域における“変革”のプロジェクトが100件を超え、2017年度比で2倍近く増えたと報告。同氏は、2018年度の事業方針メッセージとして各種の変革を現実にするという「Make It Real」を掲げたが、2019年度は「より多くの変革を形にするという意味で“Real Transformation”と定めた。お客さまの変革に貢献する真のパートナーを目指す」と述べた。
デル テクノロジーズの事業ブランドには、Dell、EMC、VMware、Pivotal、SecureWorks、RSA、VirtuStreamがある。今回の説明会で両社長は、これらにデータ連携ソリューションのBoomiも加え、ITインフラからアジャイル開発までの広範な領域をカバーとした“デル テクノロジーズ”としてのソリューションの強みをアピールした。
「デル テクノロジーズ」の事業ポートフォリオをエンドポイント、エッジ、コア、クラウドで構成されるとした現在のIT環境で示したイメージ
2019年度の日本での重点施策。「顧客企業のデジタル変革の支援」というここ数年の基本路線を維持しつつ、営業やサポート、社員人材の育成の強化をさらに推進していくとした
国内の事業体制は、今後も税法上の対応としてデルとEMCジャパンの2軸を維持するが、実質的な事業運営の統合化を継続。直近では両社の営業機能を統合した「デル テクノロジー セールス」を構築している。平手氏は、「業務や人事など各種の機能が既に統合され、ブランディングとしても『デル テクノロジーズ』が認知されつつあり、(2社に分かれている)デメリットはない」と話した。デル テクノロジー セールスについて大塚氏は、「2社の自主性や企業文化などは維持しながらも両社の強みを顧客の支援に注力させていく」と述べた。