建設資材を製造、販売する岡部(墨田区)は技術伝承などを目的にした社内向けFAQサイトの構築に「Oracle CX Service」(旧Service Cloud)を採用。現在4つの部署で活用して900以上のナレッジが登録され、FAQサイトへのアクセスも当初から約30%増加したという。提供する日本オラクルが2月25日に発表した。
東証1部に上場する岡部(単体従業員数671人、連結従業員数1186人)は仮設材から型枠材、構造機材、土木製品などの建設資材を製造、販売している。バッテリー端子製品も製造し、自動車や産業機械などに搭載されるバッテリーボックスに採用されている。
同社は2017年に中期経営計画「NEXT100~Exciting Future~」を策定。働きやすい職場環境の整備を経営基盤強化の一環として盛り込むと同時に従業員の退職によって豊富な技能を失わずに蓄積、継承することも目的にCX Serviceを導入した。
自社で取り扱う製品に関する社内からの技術的な問い合わせには技術開発部で対応しているが、多種多様な製品があるため、問い合わせの数も多く、迅速な対応と問い合わせから得られる技術情報の蓄積が課題となっていた。
タブレットを従業員に配布するなどデジタル活用を積極的に進めているが、タブレットの利用方法などに関する情報システムグループへの問い合わせ件数も少なくないという。そこでよくある質問や製品に関する情報などを蓄積するFAQサイトを社内向けに公開して、社内からの問い合わせ対応の負担を軽減することを狙った。
クラウドサービスのCX ServiceはナレッジをFAQサイトとして公開することで利用者の自己解決を促し、問い合わせ件数やコストの削減とユーザーの体験価値向上を両立できるという。電話やメールで問い合わせることなく、FAQサイトで疑問を解消できるとしている。
岡部は2018年3月に導入プロジェクトをスタート、社内事情にあわせた調整や約700件のナレッジを作成、登録して2018年8月に社内向けに公開した。電話などでの問い合わせ件数が減少するとともに、問い合わせの時にFAQサイトで調べた上で質問するケースが増えたことで1回の応対にかかる時間も短縮できたという。
現在は技術開発部門と情報システムグループのほかに仮設・リース部門と与信管理部門でもCX Serviceの利用を開始したことで登録されているナレッジの数は900以上。FAQサイトへのアクセスも公開した当初から約30%増加していると説明する。
今後は全国の支店からの問い合わせが多い経理や法務といった部門でも社内向けFAQサイトの提供を予定している。将来的には製品に関するナレッジを建設現場向けや取引先向けに提供するための基盤としての利用も検討している。
クレシード(台東区)が実装した。