パーソル総合研究所は3月23日、新型コロナウイルスによるテレワークへの影響について調査した結果を発表した。企業の正社員のテレワーク実施率は13.2%に上ることが分かったとしている。
調査は、新型コロナウイルス対策がテレワークにもたらした影響を定量的に把握し、日本の雇用や働き方の再考に資する分析を行うことを目的に、3月9~15日に全国の20~59歳の正社員を対象としてインターネットで実施した。有効回答は2万1148件。
それによると、正社員のテレワークの実施率は13.2%で、そのうち47.8%は現在の会社で初めてテレワークを実施したことが分かった。国勢調査をもとに簡易的な推計では約360万人がテレワークを実施し、うち約170万人が初めて実施したことになるという。
テレワークを実施していない86.8%のうち33.7%は、回答者がテレワークを希望しているものの実施できていない状況にある。また、テレワークを実施していない理由では「テレワーク制度が整備されていない」(41.1%)や「テレワークで行える業務ではない」(39.5%)、「テレワークのためのICT環境が整備されていない」(17.5%)が上位を占めている。
また、会社の方針でテレワークが命じられているケースは3.2%、推奨されているのは18.9%だった。会社から特に案内がない(通常通りの出勤)は71.5%に上っている。業務自体がなくなった回答者は1.0%だった。
企業規模別での「テレワークが命じられている」および「推奨されている」の合計値は、従業員1万人以上の企業では42.9%、同100人未満では9.4%だった。3大都市圏では東京圏が32.7%、名古屋圏が17.4%、大阪圏が20.2%だった。
この他に、時差出勤に関する会社の方針では「特に案内がない」が64.9%で最も多く、以下は「推奨されている」が29.0%、「命じられている」が4.4%などだった。対面による会議に関する方針でも「特に案内がない」が67.8%で最も多く、以下は「推奨されていない」が27.1%、「禁止されている」が5.1%だった。
調査結果について同社は、従業員がテレワークを希望してもできないケースが多く、企業にはなお一層の制度や環境の整備が求められると指摘。急速に拡大したテレワークは、プロセスや努力といった業務過程が見えにくく、パフォーマンスの差だけが可視化されやすいほか、仕事の様子が見えにくくこれまでのような柔軟なジョブアサインも困難になると解説する。
中長期的には、従業員各自が果たすべきジョブ(職務)や責任を計画的かつ明確に定め、従来のあいまいな「総合評価」から「職務責任を果たせたかどうかという評価」へと変わることを促すだろうとし、「今、財界ではジョブ型雇用への転換が叫ばれているが、テレワークの急拡大は、日本の雇用や働き方を変革の岐路へと立たせるだろう」とコメントしている。