ヴィーム・ソフトウェアは10月28日、報道機関向けのオンライン説明会を開催した。グローバルで10月6日付で発表されたKastenの買収などを含む、同社の最新動向が明らかにされた。
Veeam SoftwareのShaun McLagan氏(左)とヴィーム・ソフトウェアの古館正清氏
Veeam Software アジア太平洋・日本(APJ)地域担当シニアバイスプレジデントのShaun McLagan氏はまず、Kastenの買収について「5月に両社のパートナーシップ締結を発表したところ、ユーザー企業などから極めて高評価を得たことから、今回の買収が決まった」と簡単に経緯を説明。パートナーシップの発表からわずか5カ月弱で買収発表に至った理由を明かした。
VeeamとKastenの統合
さらに、Kastenについては「Kubernetesやコンテナー技術の利用が拡大する中、同社はこの市場におけるデータ保護のリーダーであり、“2つのリーダー企業”が一緒になることであらゆる領域におけるデータ保護を提供できるようになる」とし、クラウド/仮想化環境に強みを持つVeeamとコンテナー環境向けのKastenとの組み合わせが補完的で理想的なものだと位置付けた。
同氏は、Kastenが使いやすさや信頼性の高さを重視していた点について、とあるITリーダーがKastenのことを「Veeam for Kubernetes」(KastenはKubernetes環境におけるVeeam)と表現したというエピソードも紹介し、両社の親和性の高さを強調した。
また同社の業績については、グローバルでの成長率を大幅に上回る好業績を達成していることも紹介し、同社の戦略がユーザー企業に受け入れられていることを示すものだとした。
続いて、日本法人で執行役員社長を務める古館正清氏が国内の事業状況について説明した。国内事業に関しては、売上成長率が昨年比で40%増、新規顧客数が前四半期比で39%増、従業員増加率が昨年比で46%と順調な伸びを継続していることを紹介。さらに4つの注力分野として「パートナーに対する支援体制・トレーニングの拡充」「エンタープライズ向けのクラウドデータマネジメント」「クラウドによるVeeam Cloud Service Providerプログラムの推進」「広域サポートによる日本語化の充実と大阪・名古屋オフィス」を挙げた。
Veeamの好調ぶりを示すグローバルでの指標
グローバルでの実績
アジア太平洋地域・日本での実績
最後に、同社が注力するクラウドデータマネジメントの領域でのユーザー事例として、近鉄情報システム 技術管理部 技術管理部長の上種義之氏が登壇した。同社は近畿日本鉄道(近鉄)を中心とする企業グループの情報子会社になる。
同氏によれば、「近鉄グループは先進的な会社ではないが、そのような会社でもVeeam製品の検証導入は自前で実行できた」とのことで、使いやすさを高く評価したことが明かされた。同社では「技術の進化にやや鈍感」な社風を変える必要もあってクラウドシフトを積極的に進め、「変化の速いクラウド環境に身を置くことで社風も変えていく」ことに取り組んでいるとのこと。
一方で、クラウド環境ごと/システムごとにバラバラだったバックアップ環境が運用管理負担を増大させているとの認識から、「クラウド環境における標準バックアップ製品」としてVeeamを導入したという。
近鉄情報システム 技術管理部 技術管理部長の上種義之氏