米半導体工業会(SIA)は、2021年の世界的な半導体産業の売上高が5560億ドル(約64兆円)に達し、2020年の4400億ドルと比べ26%増加したことを明らかにした。 SIAによれば、これは同業界の年間総売上高としては過去最高の数字だという。
また、現状ではさまざまな業界で半導体が不足しているにも関わらず、2021年の半導体出荷数は過去最高の1兆1500億個に達した。
世界第2位の半導体メーカーであるIntelは、1月に発表した2021年第4四半期決算で、同期の売上高が同社の予想を12億ドル上回ったことを明らかにしている。Intelの最高経営責任者(CEO)Pat Gelsinger氏によれば、同期の四半期売上高と通期の売上高の両方が、過去最高を記録したという。
Intelは米国で6月に米上院で可決された「半導体製造支援法」(CHIPS法)の下で資金獲得を狙っている企業の1社だ。アジアからの半導体供給に依存する状況に対応することなどを視野に入れた法案だ。同社は1月、200億ドル(約2兆3000億円)超を投じ、オハイオ州に2つの半導体工場を新設する計画も明らかにしている。
AMDも2021年に過去最高の業績を上げたほか、大手半導体受託製造企業である台湾積体電路製造(TSMC)も、2021年第4四半期に2桁成長を達成した。
調査会社のGartnerは1月、2021年の世界的な半導体の売上高は5830億ドル(約67兆円)に達し、年間売上高として初めて5000億ドルを超えたと発表している。売上高ではサムスン電子がIntelから首位を奪った。Gartnerによれば、半導体材料の価格が上がっていることなどが同業界の売上高が上昇している原因の1つだという。このことは、OEMメーカーが製造する製品の選択にも影響を与えている。例えば、調査会社のIDCによれば、メーカーがハイエンドの「Windows」搭載製品を優先的に製造している中、「Chromebook」の出荷数が劇的に減少しているという。
またGartnerは、5Gを搭載した新型スマートフォンが半導体の売上高増に貢献しているほか、主にAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Googleなどの大手クラウドプロバイダーからの需要増によって、メモリー半導体が最も好調な製品カテゴリーになっていると指摘している。
SIAは米国政府に対し、半導体不足が続く中、CHIPS法による新規投資への資金援助を行うことを求めている。米商務省の最近の調査によれば、半導体不足は2022年後半まで続く見込みだ。
SIAのプレジデントで最高経営責任者(CEO)のJohn Neuffer氏は、「チップがますます、現在と将来の不可欠なテクノロジーに組み込まれるようになる中、半導体製造の需要は今後数年で大きく増加すると予想されている」と述べている。「米国で長期的にさらに半導体が製造され、イノベーションが起こるようにするため、米政府は迅速に、超党派による競争法の一環としてCHIPS法の投資資金を半導体の研究、設計製造に提供しなければならない。これによって、米国の経済、安全保障、重要インフラ、サプライチェーン、技術的なリーダーシップは大きく強化される」(Neuffer氏)
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。