ガートナージャパン(Gartner)は、世界の最高経営責任者(CEO)および上級経営幹部を対象にした最新の調査結果を発表した。
これによると、回答したCEOの21%が、人工知能(AI)を今後3年間で自社の業界に最も大きな影響を及ぼすテクノロジーのトップに挙げた。また、約半数のCEOにとって「成長」は戦略的なビジネス優先課題のトップであることも分かった。
CEOの2023〜2024年の戦略的なビジネス優先課題のトップ10(上位3項目に挙げられた回答の内容をGartnerが分類)
出典:Gartner(2023年5月)
この調査は2022年7〜12月に実施された。世界のさまざまな業界、売上高、規模の企業に属する、400人以上のCEOおよび上級経営幹部から回答を得ている。
このほかの結果として、過半数のCEOは、2023年の景気の低迷/後退の程度は浅く、短期的であると考えており、今回の調査では、キャッシュフロー、財務資本、資金調達に関する懸案は小幅な増加にとどまっている。
また戦略的なビジネス優先課題の中で、環境サステナビリティーに言及した割合は、サステナビリティーがCEOの優先課題の上位10項目に初めてランクインした2022年の調査よりもさらに25%多くなっている。Gartnerは、2026年までに、CEOの戦略的なビジネス優先課題として環境サステナビリティーの順位はテクノロジー関連の順位より高くなると予測している。
一方、回答したCEOの22%は、「インフレ」をビジネス上の最大のリスク要因に挙げている。また、約4分の1は、2023年に顧客の期待を最も大きく変容させると考えられる要因として、「価格感度の上昇」を挙げている。
CEOの最大のインフレ対応策は依然として「値上げ」(44%)であり、次いで「コスト最適化」(36%)、「生産性/効率性/自動化の向上」(21%)だった。
さらにビジネスに及ぶさまざまなリスクの影響についてたずねたところ、CEOの26%は、組織にとって最大のリスク要因に「人材不足」を挙げた。従業員と内定者の行動を最も大きく変容させる要因は報酬をめぐる懸念であるとCEOは予測しており、これに次いで、より柔軟な働き方やリモート/ハイブリッドワークへの要望が挙げられている。
またGartnerは、日本の多国籍企業について、地政学的リスクにも早急に取り組む必要があるとしている。今回の調査においても、CEOの59%が、新たな枠組みのグローバル化が起きていると回答しているとし、米国、中国、ロシアなどの超大国に囲まれた日本の企業は、今後これらの国の組織とどのように付き合っていくべきか、決断を迫られているとした。