デジタル変革に対応するためにCIOが身につけるべきスキルとアイデア

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2019-03-15 12:00

[PR]金融業や製造業を中心にデジタル変革(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが活発化している。今後、CIOはデジタル変革や自社のハイブリッドIT化にどう取り組むべきか。本記事シリーズで考察していく。

 金融業や製造業を中心にデジタル変革(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが活発化している。デジタル推進室やCDOなどの専門部署を設けて取り組みを進めることが一般的に見られる形だが、ここにおいてCIOが果たす役割は非常に大きい。今後、CIOはデジタル変革や自社のハイブリッドIT化にどう取り組むべきか。本記事シリーズで考察していく。

デジタル変革ではIT部門、CIOの役割こそ重要だ

 現状、デジタル変革(DX、デジタルトランスフォーメーション)の取り組みでは、デジタル化を推進する専門部隊への注目が集まりやすいようだ。調査会社IDCによればDXに取り組む国内企業は、CEOやCDO(最高デジタル責任者)直轄の専任部隊、あるいは専任の子会社/関係会社を指す「第2のIT部門」が中核となって取り組むケースが多い。その割合は27.9%に上り、「第1のIT部門」である情報システム部門を中核とする企業の13.1%を大きく上回っているという。(※1)、こうしてデジタル部門やCDOは新サービスの開発をリードする一方、その成果を対外的にアピールする過程で第2のIT部門は対外的にも注目を浴びやすくなる。

 デジタル部門やCDOに華々しい働きにくらべると、IT部門はいかにも地味な印象かも知れない。しかし、実際には、デジタル担当やCDOと、IT部門やCIOは連携して動いているケースがほとんどだ。取り組みの成功の影には既存のIT部門の働きがあるのだ。ガートナーのアナリストも「経営陣の認識も踏まえてCIOがデジタルビジネスの戦略実行と変革を主導しなければならない」と強く主張する。(※2)

※1(ZDNet Japan記事/デジタル変革の中核を担う「第2のIT部門」--約3割の企業が設置)
※2(ZDNet Japan記事/デジタル変革し続ける時代にCIOがすべき5つのこと--ガートナー)

 こうした企業の好例としては、例えば信販大手のジェーシービー(JCB)の取り組みは参考になる部分が多い。同社は2015年というきわめて早い段階からデジタル戦略を担う専門組織を立ち上げ、デジタル化の取り組みを進めてきた。一方で、IT側でもそれを支える基盤整備を着々と進め、2017年12月にはイノベーションを加速させる新基盤を構築した。デジタル変革において、デジタル推進とIT環境整備は表裏とも言える。

 では、デジタル変革に必要なIT環境の要件とは何だろうか。デジタル部門が実践するのは、アジャイル開発やリーンスタートアップ、DevOps、デザイン思考といった方法論だ。一方、IT部門はこうした動きを支えるべく、柔軟でスケーラブルなITインフラ環境を作ることが求められる。

デジタル変革に必要なIT環境 その具体的要件

 先のJCBの場合では、2017年からイノベーション施策を本格化させたが、その推進組織は大きく3つに分けられた。1つめは要員リソースの調整やKPI設定を行う「総合企画部」、2つめはイノベーションの戦略策定やPoCを実施する「イノベーション統括部」、3つめはPOC推進やテスト環境、検証支援を行う「システム企画部」だ。この3組織がイノベーション事務局を窓口に、各事業部門の意見を吸い上げ、経営層と連携しながら取り組みを推進したのだ。

イノベーションを行う推進組織の例(JCB)

  • 要員リソースの調整やKPI設定を行う「総合企画部」
  • イノベーションの戦略策定やPoCを実施する「イノベーション統括部」
  • POC推進やテスト環境、検証支援を行う「システム企画部」⇒ 経営層と連携しながら取り組みを推進

 フレームワークは、アジャイルやリーンスタートアップに基づいており、戦略策定から概念実証(PoC)、機能実証、実装、トライアル、本格導入までのサイクルをスピーディーに回し続ける体制を作った。また、戦略の主要テーマは「モバイルペイメント対応」「オープンAPI等によるビジネスアライアンス強化」「フリクションレスな 顧客手続きフロー」「ストレスフリーな顧客認証」など7つが設定されたという。

ポイントは「機動力」「新しい技術を試せること」「低コスト」

 デジタル変革を支えるITについては、システムの特性に応じて、トラディショナルなシステムとしてのMode1/SoR(System of Record)と、クラウドネイティブなシステムとしてのMode2/SoE(System of Engagement)の2つに分ける考え方がある。

 Mode1が重視するのは、開発効率や堅牢性/品質、過去の実績、既存パートナーとのつながりなどだ。一方、Mode2が重視するのは、俊敏性や早期リリース/利益の最大化、新たな経験、スタートアップとのつながりなどだ。

 ポイントは、これら2つのシステム特性を分け、ハイブリッドITとして全体を把握することで、ITリソースを適切に配分し、取り組みを推進ししやすくすることにある。例えば、Mode1でITの効率化を進め、そこで得た余剰リソースをMode2に注ぐわけだ。

 ビジネスイノベーションに対応する俊敏性を実現する基盤の構築を考えるのであれば、こうした着想は非常に有効だ。プラットフォーム構築にあたって求める要件は「機動力」「新しい技術を試せること」「低コスト」の3つが肝心で、この要件は、デジタル変革を進めるすべての企業にとって重要度の高いものだ。

 具体的なテクノロジーとしては、要件にマッチしたクラウド基盤として、IaaSやPaaSほか、コンテナ(CaaS)も有効だろう。JCBの場合では、これらをオンプレミスのプライベートクラウド環境で構築しており、「機動力」「新しい技術を試せること」「低コスト」を最大限に引き出せるようにした。

変わるIT部門の役割とCIOのミッション

 このような事例からもわかるように、デジタル変革においてクラウドネイティブな開発環境を提供することは、IT部門にとって欠かせない取り組みだ。とはいえ、単にパブリッククラウドの活用を進めるというだけでなく、システム特性やリソース配分、テクノロジーのトレンドを見ながら、自社に合ったイノベーション戦略を立案し、実行していく必要がある。

 冒頭で触れたガートナーのアナリストの見解によれば、CIOが取り組むべきテーマは、以下の5つに分けられる。

  1. 組織文化
  2. プライバシー
  3. 拡張知能
  4. デジタル・プロダクト管理
  5. デジタル・ツイン

(ZDNet Japan記事/デジタル変革し続ける時代にCIOがすべき5つのこと--ガートナー)

 これらテーマを進めるためには、Mode1、Mode2の両方にうまく対処していくことが求められる。そこでは、可用性や信頼性の担保、ガバナンスといった従来からの役割を遂行しているだけでなく、新しい態度で望む必要がある。また、マルチクラウド管理や俊敏性の獲得、新しいビジネスへの貢献も必要だ。

 最も大きな違いは、システム基盤を完成させてデジタル部門に提供すれば終わりではないということだろう。デジタル部門がそうであるように、IT部門も顧客へのサービス提供基盤を改善しつづけるという発想が重要になる。5つのテーマのなかの「組織文化」「デジタル・プロダクト管理」などは、特にそうした傾向がある。IT部門の役割の変化に合わせて、CIOのミッションも大きく変化していることを自覚する必要がある。

CIOが身につけるべきスキルとアイデアとは

 では、CIOが身につけるべき具体的なスキルとアイデアとはなんだろうか。

 まずは、取り組みの大前提として、顧客ニーズに合わせたサービスを作り続けるためのシステム基盤を提供し続けるという「自覚」が求められるだろう。それがなければ、組織体制づくりやルールづくり、テクノロジーの選定、ベンダーマネジメントなどを適切に実行することは不可能だからだ。

 スキルとしては、デジタル部門を支援できるよう、テクノロジーのプロフェッショナル/目利きとして、クラウドやコンテナ、自動化、内製化を駆使したインフラの構築、その運用方法スキルを習得すべきだろう。

 また、アイデアとしては、アジャイルやリーンスタートアップ、オープンイノベーションなどの知識と実践方法を理解しておくことが求められるだろう。

 デジタル変革の取り組みは、変化に対応する不断の取り組みでもある。現在CIOが求められる役割は、IT部門の変化をみずから促し、デジタル部門と対等な立場で企業の変革をリードしていく事であるはずだ。

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