【年頭速報:調査&分析】2025年 企業における業績とIT支出の見通しと要因(後編)
調査設計/分析/執筆: 岩上由高
ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2025年の年頭に実施したWebアンケート調査の結果を元に、今後どのような背景/要因が企業の業績やIT支出に影響を与えるか?の予測分析を行った。
<2025年はDXだけでなく、様々なビジネス環境変化を乗り切るためのIT活用提案が求められてくる>
■2025年は国内外の政治動向も不透明となり、様々な事象の関連性を予測する必要がある
■「コスト上昇に見合う価格転嫁」と「世代の違いなどに起因する企業文化の変遷」に要注目
■AIエージェントを活用した様々な業務の自動処理が進むと、IT内製化も活発になっていく
有効回答:1304人(2025年1月5日調査実施)
対象職責:企業で経営またはIT管理/運用に携わる職責
企業年商:5億円未満/5~50億円/50~500億円/500億円以上
対象業種:製造業/建設業/卸・小売業/サービス業
対象地域:全国(北海道地方、東北地方、関東地方、北陸地方、中部地方、近畿地方、中国地方、四国地方、九州/沖縄地方)
■2025年は国内外の政治動向も不透明となり、様々な事象の関連性を予測する必要がある
本リリースと対となる「前編」( (リンク ») )では、2025年1月5日に実施した調査結果を元に2025年の業績やIT支出に関する企業の見通しを年商別や業種別に分析した。2025年は少数与党である石破政権が難しい舵取りを迫られる中、米国では2回目となるトランプ政権が発足するなど、国内外の政治動向が不透明さを増してくる。一方、2025年はユーザ企業とIT企業の双方で人材不足の深刻化が予想されるため、人材のリスキリングやIT内製化といった対策も求められる可能性がある。そこで、「後編」となる本リリースでは「トランプ政権による関税引き上げの影響が人材のリスキリングやIT内製化を推し進めるのか?」など、企業の業績やIT支出に影響する様々な背景/要因の関係性を予測していく。
ノークリサーチでは「前編」にて例示したクロス集計分析だけでなく、高度な分析手法を駆使した「カスタムリサーチ・プラス」のサービスも提供している。同サービスにおいて、様々な事象の関連性を可視化し、「もし事象Aが起きた場合、それが事象Bにどう影響するか?」を分析する際に用いているのがベイジアンネットワーク分析である。
左図は2025年1月5日に実施した調査データにベイジアンネットワーク分析を適用して得られた確率推論モデルだ。
このモデルによって、様々な背景/要因の関連性を視覚的に確認し、「事象Aの影響が高まった場合に事象Bはどうなるか?」を予想することができる。
次頁以降ではそうした予測分析の結果を述べていく。
■「コスト上昇に見合う価格転嫁」と「世代の違いなどに起因する企業文化の変遷」に要注目
前頁で図示したベイジアンネットワーク図の分析対象となっている「企業における業績やIT支出の増減に影響する背景/要因」の項目一覧を全体の回答割合(≒確率推論モデルにおける標準状態)と共にグラフで示すと以下のようになる。 上記のグラフが示すように、
Q2_1.価格転嫁の停滞(コスト上昇に見合う値上げができない)
Q2_2.働き方改革や世代の違いに起因する企業文化の変遷
の2項目は全体の回答割合で1番目(Q2_1)、2番目(Q2_2)になっており、右図のように確率推論モデルにおいても業績やIT支出の増減を表す項目(Q1)と直結している。(黄色楕円のQ2_1とQ2_2が赤色楕円Q1と矢印で直結)
したがって、IT企業としては、顧客であるユーザ企業がコスト上昇に見合った価格転嫁を実現できているか?企業文化に何か変化は起きているか?などに目を配りながら、IT製品/サービスの提案を進める重要となってくる。
また、左図は前頁のベイジアンネットワーク図の中から、
A3.地域(居住地) (緑楕円)
Q2_13.大阪・関西万博開催に伴う観光客の増加や経済の活性化 (紫楕円)
を含む部分を抜粋したものだ。大阪・関西万博のように地域性の強い背景/要因については回答者の居住地との関連性が高くなっており、確率推論モデルがデータに基づく実態を再現できていることが確認できる。次頁ではこのモデルを用いて今後に関する様々な予測を行っていく。
■AIエージェントを活用した様々な業務の自動処理が進むと、IT内製化も活発になっていく
今後を考える上で無視できないのが「人材不足」の問題だ。人材不足には「Q2_5」のように人口動態に起因するものだけでなく、「Q2_4」のように賃上げや社会保障費の増加によって企業が人員増強に着手しづらくなるケースにも目を向ける必要がある。
左記のグラフはQ2_4とQ2_5を業績やIT支出に影響する要因と考える割合が4~5割に達したと想定した場合(赤帯)に他の項目が現状(青帯)とどう変わるかを示したものだ。
人材不足が更に深刻化すると、人材のリスキリングの果たす役割が重要となることがわかる。IT企業としては人材のリスキリングを支援するIT活用を提案に組み込むことを検討しておくことが大切だ。
一方、右記のグラフはトランプ政権による関税引き上げや米中対立を業績やIT支出の影響要因とする割合が2~3割に増加した場合(赤帯)を現状(青帯)と比較したものだ。米国および米中に起因する影響は国内や欧州の政局にも波及し、規制緩和による打開策が求められるようになると予想されることを右記のグラフは示している。
また、人材のリスキリングの値は人材不足の場合よりも若干高くなることもグラフから読み取れる。
トランプ政権の動きや米中対立の影響が顕著になった場合は人材のリスキリング支援に加えて、規制緩和を見据えたIT活用提案も検討していくことが重要となってくる。 これまでの結果を踏まえると、人材不足やトランプ政権の影響を受けたとしても、「IT内製化」の値は1割強に留まっていた。
では、IT内製化を加速する可能性のある要因は何だろうか?それを示すのが左記のグラフである。これはAIエージェントの活用を業績やIT支出の影響要因と考える割合が3割に達した場合(赤帯)と現状(青帯)と比較したものだ。IT内製化の値は16.3%まで高まっていることがわかる。つまり、AIエージェントを活用した様々な業務の自動処理に取り組むユーザ企業が増えることで、IT内製化も更に進んでいくと予想される。
ここでは調査結果のごく一部を紹介したが、本リリースの調査結果に基づく分析/提言は「ブリーフィングサービス」(IT企業毎のニーズに応じて本リリースの調査データを集計/分析)として提供される。(ブリーフィングサービスの詳細については下記資料を参照 (リンク ») ) 次頁では本リリースの調査におけるサンプル属性を掲載している。
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