IBMは米国時間10月15日、企業による人工知能(AI)アプリケーションの開発、実行、管理、運用を支援する「IBM AI OpenScale」プラットフォームを発表した。
IBMはAIの管理プレーンとなり、ブラックボックス化しがちなAIに透明性をもたらすことを目指しており、AI OpenScaleもその継続的な取り組みの一環である。まだ、AIが無秩序なまでに普及拡大しているわけではなくても、企業がAIの管理に悩まされるようになる日は、そう遠くないはずだ。
IBMは、自社製品のオープン性を高め、データ、複数クラウド、セキュリティのインテグレーターになるという多面的戦略を掲げている。AI OpenScaleはその戦略を支える柱の1つであり、同社は企業を支援する異種混在環境の技術プロバイダーとしての立場を強調したい考えだ。
IBMのWatson DataおよびAI担当ゼネラルマネジャーであるBeth Smith氏によると、現在のAIはツール、モデル、フレームワークがメッシュ状につながっている。「企業はさまざまなツールを使っており、場合によっては自己開発している」(Smith氏)。IBM AI OpenScaleは、AI導入を支援する相互運用性に優れたシステムだという。
AI OpenScaleプラットフォームは2018年内に、「IBM Cloud」と「IBM Cloud Private」で利用可能になる。AIアプリケーションの開発場所と導入場所に関わらず、アプリケーションを運用し、実行時間を参考にしながらアプリケーション同士が不公平に扱われていないかなどを確認し、問題があれば緩和する。「Watson」「Tensorflow」「Keras」「SparkML」「Amazon SageMaker」「Azure Machine Learning」などのフレームワークに対応する。
またAI OpenScaleの一部として、AIの自動化と構築を行う「Neural Network Synthesis Engine(NeuNetS)」システムもこのたび登場した。NeuNetSを使って、AIとモデルの微調整を行い、開発時間を飛躍的に短縮できるという。当初は同プラットフォーム上で、ベータ版を提供する。
同社は他にも、「IBM Multicloud Manager」を発表した。コンテナオーケストレーション技術「Kubernetes」コンテナを基盤とする運用プラットフォームで、パブリッククラウドとハイブリッドクラウドの導入を管理できる。
IBMが提供するコンソールは、IBM Cloud向けに最適化されているが、Amazon Web ServicesやRed Hat、Microsoftのクラウドにも対応する。
IBMによると、このクラウド管理コンソールの差別化要因は、オープン標準に基づいて、複数クラウドでデータとアプリケーションを管理できる点である。10月内に提供を開始する。
さらにIBMは、「IBM Security Connect」の概要を発表した。複数のシステムと環境で、セキュリティデータを横断的に集約、分析するためのオープンプラットフォームで、機械学習とAIを搭載する。セキュリティ技術やプロトコルについては、既存のオープン標準技術が採用される。2019年第1四半期に提供される見通しだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。