企業向け検索を充実させ、「エンタープライズのGoogle」を目指すというIBMの取り組みは、今も真剣に続けられている。
IBMは、年末までに企業情報管理ツールのアップデート版をリリースする予定だ。このツールは、企業ネットワークに散在する膨大な量のデータソースを系統立てて整理するためのものである。
「Serrano」という開発コード名で呼ばれるこの製品は、人工知能やデータマイニングなどの技術を利用して、企業内にある個々のドキュメントの意味付けを行う。またIBMによれば、改良を施した検索エンジンと、ウェブを検索するのと同じような方法で企業情報を収集するフロントエンドツールも同製品に搭載されるという。
2年以上前に発表されて以来、IBMの「WebSphere Information Integrator」(旧DB2 Information Integrator)はおよそ1700に上る顧客を獲得してきた。この製品ラインの基礎を成すのは、複数のデータソースに対して同時に検索を行う機能だ。IBMはこの基礎の上に、検索インターフェースなどのツールをいくつか追加したという。
IBMが対象としているのは、インターネット全体ではなく、企業ネットワーク内の情報の取得だ。同社のインフォメーションインテグレーション部門バイスプレジデントNelson Mattosはその理由として、企業ユーザーがこうした情報の検索に常に頭を悩ませていることを挙げた。
「問題はウェブではない。自分の仕事を遂行するために情報を集めようとしている人々が、問題を抱えているのだ。彼らはエンタープライズのGoogleを求めている--これこそが問題なのだ」(Mattos)
Serrano(辛みの強い青唐辛子、シラノ唐辛子が名前の由来だ)では、異なる情報ソースを横断して、特定のパターンを自動的に見つけ出すツールも強化される予定である。このため同製品にはパターン認識技術が採用されているが、Mattosによると、そうした技術の一部はIBMの研究所で生まれたものだという。
例えば製薬会社では、調合すると危険な薬品の組み合わせに関する情報を、社内ドキュメントから自動的に収集するなどの使い方ができるだろう。このソフトウェアを使って、数件のドキュメントを分析し、それらの関係性にフラグを立てることが可能なので、薬剤研究に役立つとMattosは述べている。
Serranoソフトウェアを使って、ドキュメントの内容を分析することも可能だ。検索結果はキーワードのみに基づくわけではないので、この特徴がOmniFindエディションの検索機能の向上に貢献するだろうとMattosは述べる。また同製品を使って、検索で得られたドキュメントをアップデートすることも可能だ。
IBMは、特定の業界向けにOmniFindの機能を利用するアプリケーションをサードパーティが開発できるようにインターフェースを公開する考えだと、同氏は述べた。
さらに、Websphere Information Integratorには、ソフトウェアプログラマーやデータベース管理者向けのアプリケーション開発ツールや情報管理ツールが盛り込まれる予定だ。これらのツールは、リレーショナルデータベースのテーブルに格納された情報のような構造化されたデータと、文書取り扱い用のコンテンツ管理システムに収められた情報のような構造化されていないデータの両方を扱うアプリケーションを、容易に開発できるようにするためのものだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。