Microsoftは米国時間11日、MSN Messengerに脆弱性が見つかったことを受け、同ソフトウェアのユーザーに強制的に新バージョンをダウンロードさせる措置をとった。
この動きは、あるセキュリティ対策企業がMSN Messengerの脆弱性を悪用する攻撃方法を公開したことを受けたものだった。この措置は、ユーザーが同ソフトウェアを起動するとアップグレードを促すメッセージが表示され、アップデートを実行しないと「友だちリスト」が表示されない仕組みになっていた。
調査会社Gartnerは、脆弱なバージョンを使うクライアントを早急に排除して問題を抑えようとしたMicrosoftの対応を称賛する一方で、将来は今回のように容易に対処できなくなる可能性があると警告した。また、大企業は自分で対処する必要が出てくるだろうと、Gartnerは述べる。
GartnerのアナリストLawrence Oransは、「次にインスタントメッセージング(IM)ソフトウェアのエクスプロイトコードが出たときは、MicrosoftなどのIMプロバイダーが今回ほど機敏あるいは効果的に対応ができない可能性がある。IMの使用によって自社のセキュリティが危険にさらされないよう確実を期すことが、大企業には求められる。深刻なセキュリティの脅威が発生した場合は、必要であれば一時的にこれを遮断する必要がある」と勧告のなかで述べている。
Frost & Sullivanのシニア・インダストリーアナリストFoad Fadaghiは、IMのセキュリティポリシーを策定している企業もあるが、その多くは消費者向けの無償バージョンで満足していると語った。これではセキュリティの問題が発生したときに、サービスの遮断を余儀なくされ、問題に巻き込まれる可能性があると同氏はいう。
「多くの企業が個人用の無償IMソフトを使っており、かなり危険な状況に置かれている。IMに対する脅威が高まれば、ポリシーを設定して安全なシステムを用意する企業も増えるだろう。IMは重要なコミュニケーション手段であり、これを遮断することになれば、業務に支障が出る」(Fadaghi)
Fadaghiによると、MSN Messengerの脆弱性が発見されて1つだけ良かったことがあるという。それは、IMが企業のセキュリティを脅かす可能性があることにCIOが気付いたことだという。
「CIOはこれまで、IMを意識してこなかった。彼らは、IMが自社のセキュリティを脅かす可能性があることに、今になって気付いたようだ」(Fadaghi)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。