IBMが、アラブ首長国連邦で何万台もの車両に「ブラックボックス」を搭載する1億2500万ドル規模の取引を成立させた。
この4年契約でIBMは、テレマティクス(車載情報システム)装置とGPSを乗用車とトラックに搭載する。これらの装置は、車両の位置と速度に関する情報を同国の政府機関に提供する。これにより、全国に広がるワイヤレス・ネットワークに何万台もの車両が接続される。IBMでは、これを最大規模のテレマティクスの応用事例であり、移動通信とコンピューティングの結合だと述べている。
IBMのシステムでは、ドライバーが制限速度を超えると、車載スピーカーを通して個々の車両に警告が伝えられる。また、車両には、将来予定されているサービスへのアクセスを可能にするため、スクリーンと音声認識ソフトウェアも搭載されるとIBMは述べた。
今回の取り組みの背景には、アラブ首長国連邦のペルシャ湾岸地域における交通事故死亡率の高さがある。
同国は、交通事故関連の死者数を5年間で半減させ、10万人あたり38人に抑えることを目標としていると、このプロジェクトに関わるIBMのインターネット技術戦略ディレクターMichael Nelsonは述べる。Nelsonによると、米国における10万人あたりの死者数は15人、スウェーデンでは6人だという。
車両トラッキング装置の最初のプロトタイプは、飛行機の「ブラックボックス」に似ており、2006年にも利用可能になると予定だ。計画としては、2006年年末までに何万台もの車両へ搭載する。計画には、緊急車両と国有のトラック隊も含まれる。
4年の契約期間が終了した後IBMは、初期のインフラストラクチャを土台とした、同プロジェクトの第2フェーズ受注をめぐって、他社と競う予定だ。搭載した装置を使って集めたデータは、運転の傾向を監視するために政府が利用するだけでなく、レンタカーやホテルなどの消費者向けサービスを提供するために民間企業でも利用される。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ