デュアルコア Opteronの真の実力は「低消費電力」と「互換性」

奥 隆朗(編集部) 2005年04月22日 11時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 日本AMDは、サーバー/ワークステーション向けとデスクトップPC向けの64ビットCPUに、2つのCPUコア(デュアルコア)を搭載した新製品を発表した。前者が「デュアルコア AMD Opteronプロセッサ」で、後者が「AMD Athlon 64 X2 デュアルコア・プロセッサ」という名前になる。

 両製品ともデュアルコア化を実現することで、複数のプログラムを同時に処理するマルチスレッド環境により、高い性能を発揮できるようになる。また、CPUの処理能力の上昇に伴う消費電力の増大も抑えられる。この低消費電力を実現には、動作周波数と消費電力の関係が大きく影響する。

 かつては、CPUの性能を引き上げるためには、CPU内のトランジスタ数を増やすとともに、動作周波数を引き上げるというアプローチをとってきた。しかし、動作周波数の向上は消費電力の拡大を促すことになる。これを防ぐために配線やトランジスタをより微細化することで、電流量を削減したり動作電圧を引き下げたりするトレードオフの策を講じてきた。

 しかし動作周波数が4GHzに及ぶまでになり、非常に高速化している現在、数百MHzの動作周波数引き上げは単純計算でも数%〜十数%程度しか処理能力は向上しない。いわば、努力が実を結ぶ可能性が低くなってきたのだ。

 これに対し、1つのCPUの内部に複数のCPUコアを装備するマルチコアのアプローチであれば、周波数を引き上げるよりも容易に性能を向上できる。加えて、CPUコアを複数詰め込むために微細化が必要になり、消費電力の上昇も抑えられるというわけだ。

 AMDでは「最高の電力当たりの性能を提供できる」と、これまでとほとんど変わらない消費電力でコンピュータ能力を増強できる点をアピールしている。

 今回、AMDが出荷する「デュアルコア AMD Opteronプロセッサ」は、90ナノメートルプロセスで製造され、4基あるいは8基のプロセッサを搭載するサーバ向けの865/870/875モデル(動作周波数は1.8GHz/2.0GHz/2.2GHz)が即日出荷モデルとして用意される。また、1〜2基のCPUを搭載すハードウェア向けの265/270/275モデル(動作周波数は1.8GHz/2.0GHz/2.2GHz)が5月末の出荷予定となっている。消費電力はそれぞれ、現在のプラットフォームと同様の30W/55W/95Wになるという。

 一方、「AMD Athlon 64 X2 デュアルコア・プロセッサ」は、モデルナンバーが4400+、4600+、4800+の3種類が用意される。

 デュアルコアAthlon、デュアルコアOpteronの両ラインアップとも、従来のシングルコア製品とピン互換を実現しているのも大きな特長といえる。既存のシングルコア製品から乗り換える場合でも、BIOSの更新は必要となるが、ボードにそのまま載せ替えることで性能向上を果たせるというメリットは大きな魅力だ。

 ただ、Athlon/Opteronのコアが2つになったことで、そのまま性能が倍近く向上するかといえば、そうとはいいきれない。まず、多大なトランザクションを処理するようなマルチスレッド環境でないとシングルコアと同じような働きしかしないのに加え、AMD固有の問題もある。

 ピン互換を果たすためにCPUに内蔵されるメモリコントローラが1つとなる点がその問題の1つだ。2つコアを搭載していても、メモリのアクセスは1つのコントローラで制御するため、多量の計算処理を行う場合にボトルネックとなり、性能向上を果たせない可能性がある。

 なお、インテルのデュアルコアCPUも今月中に登場する予定となっている。インテルは、シングルコアで2つの処理を平行して行う「HyperThreading」をデュアルコアCPUにも搭載する予定であり、それをアドバンテージとしている。

 今後、AMDとインテルが繰り広げるCPUの主導権争いの主戦場は、64ビット対応のデュアルコアCPUに移るのは確実といえる。実際にデュアルコアCPUを搭載システムが登場した際に、どちらが高い性能を発揮できるかは興味深い。だが、デュアルコア化によってCPU単位で課金されるソフトウェアライセンスをそれぞれの企業がどのような形で契約するかという問題や、低消費電力をどこまで実現できるかといった点も焦点となるに違いない。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連キーワード
クラウド基盤

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
サイバーセキュリティ未来考
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
Gartner Symposium
企業決算
ソフトウェア開発パラダイムの進化
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化