かつてはプログラマからオモチャ扱いされていたスクリプト言語が、今や企業向けソフトウェア開発の世界の主役となっている。
データベース大手Oracleは米国時間16日、Zend Technologiesとの提携について発表する予定だ。提携の目的は、企業がZend TechnologiesのPHPツールを用いて、Oracle製品向けのカスタムアプリケーションを開発するのを支援することにある。PHPはオープンソースのスクリプト言語で、ウェブページの作成に利用されている。
IBMやSun Microsystems、Microsoftなどの大手ソフトウェア企業は、人気の高まりつつあるスクリプト言語に対して投資を行っているが、OracleがPHPへの関与を深めているのも、こうした傾向の一環と言える。
スクリプト言語はこれまで、ウェブ上の無数のアプリケーション開発に使用されてきた。だが、企業に属する開発者の間では、その利用はまだ一般的ではない。しかし、社内用プログラムのカスタマイズを簡素化/迅速化するためにスクリプト言語を利用し、開発の遅れや予算オーバーといった問題を解消しようとする企業やIT専門家は増えている。
「簡単に使用できるという理由から、スクリプト(言語)の人気は高まる一方だ。性能も向上している」と話すのは、コンサルティング企業InterKnowlogyのCEOであるTim Huckabyだ。同社はMicrosoftのパートナー企業でもある。「問題は、いかに洗練された仕組みを持っているかではなく、マーケティングに要する時間と費用だ」(Huckaby)
OracleはZendと連携することで、PHPのメリットを享受でき、なおかつ同社の「Oracle」データベースの採用を加速させることが可能になる。Zendのマーケティング部門バイスプレジデントPamela Roussosによれば、同社の現顧客のうち、20%以上がOracleデータベースを使っているという。
小規模企業には、大規模なカスタムビジネスアプリケーションを作成するのに利用されるプログラミング言語の専門家を擁するような、高い能力を持つIT部門はふつうは存在しない。この提携でOracleがそうした企業の囲い込みに成功すれば、顧客層の裾野は広がるだろう。Java/C/C++/Visual Basicなどの言語は比較的難解だが、スクリプト言語なら一般ユーザーでも使いこなせる。コンピュータサイエンスの学位も、長時間のトレーニングも必要ない。
Oracleの一連の開発ツールや、それに関連する、ビジネスアプリケーションを稼働させるための「ミドルウェア」などは、Javaベースで開発されている。同様に、IBM、BEA Systems、Sunなどの企業も、Java標準に対する投資を引き続き行っている。一方、Microsoftの開発ツールは、同社のプロプライエタリ製品である「.NET」ソフトウェアを基礎としている。
Zendは、オープンソースのPHPソフトウェアを利用して、主に企業開発者向けに開発ツールを提供している。