DNSサーバはインターネットのアキレス腱

Joris Evers (CNET News.com) 2005年08月05日 13時25分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 何十万台ものインターネットサーバがある攻撃のリスクを抱えている。その攻撃とは、ウェブユーザーを勝手に悪質な偽のサイトへとリダイレクトしてしまうというものだ。

 セキュリティ研究者のDan Kaminskyが、250万台のDNS(Domain Name System)サーバをスキャンしたところ、そのうちの約23万台が「DNSキャッシュ汚染」として知られている脅威に対して脆弱であることがわかった。DNSサーバはインターネットの電話帳の役割を果たしている。

 同氏は、7月末にラスベガスで開かれた「Black Hat」セキュリティカンファンレンスで講演を行い、この数は「スキャンしたDNSサーバの約10%にあたる」とした上で、「DNSサーバのチェックを済ませていない場合は、監査を受けてほしい」と述べた。

 ネットワークに対する脅威を監視するSANSのInternet Storm Centerによると、こうした攻撃は金銭目当てで仕掛けられるという。攻撃の犯人は通常、スパイウェアやアドウェアをインストールしたPCの台数に応じて報酬を受け取っている。

 社会保障番号やクレジットカード情報など、被害者のPCから盗み取った情報が売買される可能性もある。さらに、PCを乗っ取ってスパムの送信に使う目的で、悪質なソフトウェアがインストールされる可能性もある。

 DNSサーバは、文字列からなるインターネットアドレスを、IPアドレスの数字列に変換するためのもので、各サーバのキャッシュは、ウェブアドレス情報をそのサーバに保存しておくために使用されている。

 DNSキャッシュ汚染では、DNSサーバに保存された人気の高いウェブサイトのIPアドレスが、悪質なサイトのアドレスに置き換えられてしまう。このため、正規のウェブサイトにアクセスしようとしたユーザーが偽のサイトへリダイレクトされてしまい、そこで機密性の高い情報の入力を求められたり、有害なソフトウェアをPCへインストールするように指示されることになる。専門家によれば、このテクニックが電子メールで使われることもあるという。

 何千台ものコンピューターが、インターネットアドレスを見つけだすために、1台のDNSサーバにアクセスしている。そのため、この問題が何百万人ものウェブユーザーに影響を及ぼす可能性があり、ユーザーはフィッシング詐欺や個人識別情報の盗難などのサイバー犯罪に遭う危険にさらされることになる。

 汚染されたキャッシュは「人々を間違った場所に導く偽の道路標識」のようなものだと、DNSの仕組みを設計したPaul Mockapetrisは説明する。同氏は現在、セキュアなDNSを提供するNominumの会長兼チーフサイエンティストを務めている。「(DNSには)これまでにも他の脆弱性が存在していたが、いま問題になっているこの脆弱性には修正する方法がない。(DNSサーバのソフトウェアを)アップグレードするべきだ」(Mockapetris)

 Kaminskyによれば、インターネット上には900万台のDNSサーバが存在するという。同氏はそのうちの250万台について、Prolexic Technologiesの提供する高帯域接続を用いて調査した。その結果、調査の対象となったサーバのうち、23万台が潜在的に脆弱性を抱えており、また6万台はこの種の攻撃に対して無防備な状態に置かれている可能性が高く、さらに1万3000台は確実にキャッシュを汚染できる状態にあることがわかった。

 脆弱性を抱えたサーバでは、「Berkeley Internet Name Domain(BIND)」ソフトウェアが安全でない状態で稼働しており、アップグレードが不可欠な状態になっているとKaminskyは言う。これらのシステムでは「BIND 4」もしくは「BIND 8」が動いており、DNSリクエストのforwarder(サーバ内に情報がない場合、他のサーバに問い合わせを行う機能)を使うように設定されているが、これはBINDソフトウェアの配布元が明確な警告を発している状態だ。

 BINDはInternet Software Consortium(ISC)から無償で配布されている。ISCは、「現在、大規模な...DNSキャッシュ汚染攻撃」が行われているとする警告を同グループのウェブサイトに上げている。ISCは、forwarder設定が有効になっているすべてDNSサーバは、BIND 9にアップグレードされなければならないとしている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連キーワード
セキュリティ

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
ハードから読み解くITトレンド放談
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
Gartner Symposium
企業決算
ソフトウェア開発パラダイムの進化
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化