カリフォルニア州メンローパーク発--Sun Microsystemsが、Sparcプロセッサの2つの新ファミリー「Niagara」と「Rock」の後継モデルとなる、さらに高度な製造プロセスを採用したチップの開発に乗りだした。
12月に出荷開始された現行のNiagaraシステムは、複数のタスクを同時に動かすという大胆なアプローチを採っている。Sunではこのアプローチを「チップマルチスレディング」と呼んでいる。正式名「UltraSparc T1」と呼ばれる最初のNiagaraチップと、「Niagara II」と呼ばれるその後継チップは、ウェブサイトのホスティングやJavaプログラムの実行といった作業を処理するローエンドサーバ向けとなっており、一方のRockはハイエンド作業向けとなっている。
Sunの現行のSparcチップは、Texas Instruments(TI)が90ナノメートル製造プロセスで製造している。それに対し、2007年後半に出荷が予定されているNiagara IIと、2008年に出荷が予定されているRockでは、65ナノメートルプロセスに移行するようになる。だが、SunのDavid Yen氏(スケーラブルシステムグループ、エグゼクティブバイスプレジデント)は、当地で行われたインタビューのなかで、Sunのエンジニアがすでに45ナノメートルプロセスを採用した後継チップの開発にも着手していることを明らかにした。
より微細な新しい製造プロセスに移行すれば、同じ大きさのシリコンにより多くの回路を詰め込めるようになる。それにより、チップ設計者はプロセッシングコアや暗号化エンジンなど新しい機能をチップに搭載できるようになる。そして、ドットコムバブルの崩壊以降あまり元気のなかったSunにも、プロセッサビジネスを改善するチャンスが生まれてくる。
Niagaraは8つのプロセッシングコアを搭載し、それぞれが4つのスレッドを処理することが可能で、あわせて32件の独立したソフトウェアシーケンスを同時に実行できる。また、Niagara IIでは最大64件のソフトウェアシーケンスに実行できる。Insight 64のアナリストNathan Brookwood氏によると、Niagara IIでは1コアあたりのスレッド数が2倍の8に増えており、スループットが改善しているという。
またYen氏によると、Niagara IIでは、現行のプロセッサで8つのコアすべてが共有している浮動小数点計算ユニットが複数になり、数値計算性能が向上するという。さらに、10ギガビットイーサネットの内蔵によりネットワーク処理も高速化されるという。
さらに、Niagara Iでは暗号化されたウェブサイトのSSLへの採用で有名なRSAアルゴリズムを使って暗号化および解読作業を高速化していたが、Niagara IIでは5種類以上の暗号技術アルゴリズムを採用すると同氏は説明した。
Yen氏によると、Niagara IIはマルチプロセッサ構成で発売されるという。Microprocessor Reportは2月に、SunのチップデザイナーMarc Tremblay氏にインタビューした後、同チップがデュアルプロセッサ構成で出荷されることを明らかにしていた。これは、ローエンドサーバ1台で「Starcat」Sun Fire 15Kサーバを上回る128スレッドに対応できることを意味する。Starcatは、UltraSparc IIIベースのかつてのトップエンドで106スレッドを処理できた。
その後、「Niagara III」という名前でYen氏が以前言及したチップが登場する。このチップは45ナノメートルプロセスで製造される。