Symantecの法人向けウイルス対策ツールにある既知のセキュリティホールを悪用して感染を拡大する新しいワームがネットに登場した。専門家らが米国時間12月15日に警告した。
eEye Digital Security(本社:カリフォルニア州アリソビエホ)が「Big Yellow」と呼ぶこのワームは、脆弱なコンピュータを遠隔操作可能なゾンビに変えてしまう。これは、6カ月前から「Symantec Client Security」と「Symantec AntiVirus Corporate Edition」にある脆弱性を悪用する。同種の悪質なコードとしては2番目となる。この脆弱性に対応するパッチは5月から公開されている。
eEyeの最高技術責任者(CTO)、Marc Maiffret氏によると、この新しい「ボットワーム」は、脆弱なSymantecソフトウェアが動作するコンピュータをスキャンして侵入を試みるという。この脅威は広い範囲に感染しているようだと、Maiffret氏は語っている。eEyeは、同ワームが悪質なペイロード部分のダウンロードに利用しているあるサーバの追跡調査を行っている。同氏によると、このサーバは6万台以上のシステムにデータを流したという。
Symantec Security ResponseのシニアディレクターVincent Weafer氏によると、Symantecは新しいワームを認識しており、これを「Sagevo」と呼んでいるという。しかし同社は、これを大きな脅威とは見なしていない。Sagevoを発見した顧客はわずか3社しかおらず、Symantecが張り巡らすセキュリティ監視ネットワークでも「微々たる雑音」程度にしか認識されていないと、同氏は語っている。
Weafer氏は、「厳密にいえばeEyeは正しい。新しいボットワームが存在するのは事実だ。しかし、実際の活動が確認できない状況では、eEyeが与えた印象や、出した警告は誤解を招く」と語っている。
11月には、同じようなSpybotの亜種が感染を拡大させた。SpybotもBig Yellowも、PCにインストールされるとシステムのバックッドアを開き、IRC(Internet Relay Chat)サーバに接続して、改ざんされたコンピュータを攻撃者が遠隔操作できるようにする。Microsoftによると、このような遠隔操作ソフトウェアは、Windows PCに最も大きな被害をもたらすという。
幅広く利用されているSymantec製セキュリティソフトウェアのバグがワームに悪用されている事実は、専門家が以前指摘したセキュリティのトレンドを浮き彫りにしている。専門家らは、ますます多くの攻撃者がOS以外から脆弱性を見つけ出そうとしていることを指摘していた。
Weafer氏は、「主要アプリケーションに脆弱性があれば、これがボットワームに利用される確率は大幅に高まる。脆弱性の研究や悪用の舞台は、OSレベルからアプリケーションレベルへと移りつつある。この傾向はしばらく続くだろう」と語っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ