SAPは米国時間2月15日、最高経営責任者(CEO)との契約を17カ月延長したことを明らかにした。世界最大手のエンタープライズソフトウェア企業であるSAPを将来誰が率いることになるのかという議論を一時的に沈静化させた格好だ。
SAPに入って25年のHenning Kagermann氏が2009年5月31日までCEOの職を続投することが決定した。これまでの契約は2007年末に切れることになっていた。
監査役会会長を務めるHasso Plattner氏は声明で「監査役会はHenning Kagermannの指揮下でSAPの有機的成長を促す戦略が達成されたことを再確認し、同氏を再信任することを決定した」と述べる。「同氏の指揮の下、SAPは世界のビジネスソフトウェア市場におけるリードを大きく拡大し、ソフトウェア業界に革新的な技術的ブレイクスルーをもたらした」(Plattner氏)
Kagermann氏の契約を1年以上延長するべきかをめぐる議論では、監査役会メンバー16人の間でも積極的な議論がなされた。事情に詳しいある情報筋によれば、監査役会メンバーのうち複数の人が複数年の契約延長を求めたという。監査役会は、SAPの幹部を選出し、契約を更新していく役割を担っている。
複数の情報筋によると、ディレクターらがKagermann氏との契約を1年以上にわたって更新することを希望したのは、Kagermanns氏の業績に満足していることや、後継者にふさわしい人物を選定することが難しいことなどの理由によるものだという。
Kagermann氏の後継者として有力視されているのは急速な勢いで頭角を現しているグローバル技術開発担当のShai Agassi氏、および、営業&マーケティング部門担当の幹部を長く務めてきたLeo Apotheker氏だ。
なかには、契約を1年延長するだけでは、トップ交代時の従業員への影響をやわらげるうえで、ほとんど意味をなさないという意見も出ていた。
ある情報筋は、2009年5月までの契約延長について、Kagermann氏との時間があと2年あることを意味すると述べる。現行のたいていの契約は12月に終了し、多くの幹部が自分の職務や担当分野を完全に遂行できないうちに終わってしまうのに対し、Kagermann氏の新しい契約が終了するのは5月31日で、これは年次株主総会と重なるという。
Kagermann氏は、2009年5月の契約満了後も、更新を希望するか否かについては明らかにしていない。しかし、この問題をめぐる議論は早ければ、2008年の今ごろには始まるだろうと、複数の情報筋は述べる。Kagermann氏の後継者や、引継ぎの計画をめぐる議論はまだまだ続きそうだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ