F5ネットワークスジャパンは2月28日、ネットワークサービスを安全、高速かつ安定して運用するための包括的なソリューションである「BIG-IP」用の最新ソフトウェア「BIG-IP v9.4」および「WebAcceleratorモジュール」、さらにプラットフォーム製品の最上位機種である「BIG-IP 8800プラットフォーム」の提供を開始することを発表した。
BIG-IP 8800プラットフォームは、10Gbpsのアプリケーション配信を可能にするBIG-IPの最上位機種となる新製品。最新アーキテクチャを搭載することで、大容量のトラフィック環境に対応できるパフォーマンスとスケーラビリティを実現。年内に発表が予定されているシャーシ型モデルへのマイルストーンとなる。
最大の特長は、マルチプロセッサ、マルチコアに対応し、プロセッサの数やコア数に比例した処理能力を実現できる新しいアーキテクチャ「クラスタリングマルチプロセシング(CMP)」を搭載したこと。CMPの採用とTMOSにより、より効率的なアプリケーションデリバリネットワーキング環境を実現できる。
F5 Networksのプロダクトマネージメント担当ディレクターであるJason Needham氏は、「競合他社の製品に比べ、2倍以上のパフォーマンスを提供できる」と胸を張る。また、F5ネットワークスジャパンのシニアプロダクトマーケティングマネジャーである武堂貴宏氏は、「筐体はBIG-IP 8400と同じだが、内部的には全く違う製品だ」と話している。
たとえば、アドウェア企業であるZangoでは、3台のBIG-IP 6400で行っていた処理を、1台のBIG-IP 8800に移行することで、レイヤ7でのトラフィック処理機能を活用しながらゲーム、ビデオをはじめとするダウンロード用コンテンツが必要とする十分なスループットを実現したという。
一方、BIG-IP v9.4は、管理ドメインの採用や信頼性を追求したアプリケーションモニタの追加、オペレーションの効率化などが特長の最新ソフトウェア。管理ドメインの採用により、アプリケーション、ビジネスユニットごとに権限を分割できるほか、オブジェクト、キャッシュ、圧縮、SSLなどのリソースの仮想化が可能。運用管理の効率化を実現できる。
また、IBM WebSphereモニタ(SASP)やファイルサーバモニタ(SMB)、パッシブモニタなどで構成されるアプリケーションモニタの追加により、アプリケーションアップタイムが向上できるほか、TMOSとiRules、DevCentralで実現していた各種機能をテンプレート化することで、操作性を大幅に向上している。
さらに、WebAcceleratorモジュールは、ダイナミックなキャッシング技術により、ウェブアプリケーションを高速化するための機能を提供するもの。TMOS上に統合されることで、新たにハードウェアを導入することなく機能拡張が可能。JavaAppletなどをブラウザにプラグインすることなく、変更対象の項目だけリフレッシュされる「インテリジェント・ブラウザ・リファレンシング(IBR)」などの搭載で、ウェブアプリケーションの高速化を実現できる。
BIG-IP v9.4およびWebAccelerator モジュールは同日より発売を開始。BIG-IP 8800プラットフォームは2007年夏ごろに国内販売を予定している。WebAcceleratorモジュールはオプションでBIG-IP 6400以上の機種に搭載可能。なお、保守契約を持つF5製品の既存顧客は、追加料金なしでBIG-IP v9.4にアップグレードできる。