ソニーは、まもなく登場するノートPC「VAIO」にはIntelの「Turbo Memory」を採用しない予定だ。同社は、「Windows Vista」が「Turbo Memory」をサポートしていないと主張している。
ソニーは、Hewlett-Packard(HP)が自社製ノートPCにTurbo Memory(開発コード名:「Robson」)を採用しない、とする米国時間6月4日の報道に続いてこれを明らかにした。
HPは、Turbo Memoryは費用に対して効果が高くなく、ユーザーの柔軟性が制限されてしまうと主張する。
Turbo Memoryは、Intelが設計し、「Windows Vista」の「ReadyBoost」や「ReadyDrive」などの機能を活用する内蔵型フラッシュメモリモジュールで、ノートPCの起動時間とパフォーマンスを改善する。Intelの「Centrino Pro」および「Centrino Duo」プラットフォームのオプション機能として投入されたTurbo Memoryは、大半のノートPCメーカーが製品ラインアップへの採用を表明していた。
ソニーは5日、同社がTurbo Memoryを採用したノートPCを(少なくとも当面は)リリースしないことをZDNet.co.ukに明らかにした。ソニーは、現行版のVistaがTurbo Memoryをサポートしていないため、同技術を除くことを決定したと述べる。ソニーはまた、現在のVistaではハイブリッドハードディスクドライブ(H-DD)もサポートしていないと主張する。H-DDは、従来のハードディスク部品と半導体部品の両方で構成されたハードディスク。
ソニーはZDNet.co.ukに対する声明で、「Robsonメモリ(とH-DD)は両方とも同OSのサポートが必要だ。サポートできるのはVistaだけだが、最初のリリースではこれがサポートされていない。問題は、パフォーマンス向上のためにはOSがRobsonメモリに何を読み込むのか学習する必要がある点だ」と述べている。
ソニーはさらに、「今のところ顧客にはメリットがないため、(新ノートPCの)夏モデルにはRobsonとH-DDを採用しないことにした」と述べている。
これは、まだ未発表ながら2007年中にリリースされる見通しのVistaの「Service Pack 1」ではサポートされることになるだろう。
ソニーは、Turbo Memoryでは新たにMini PCIスロットを用意しなくてはならないことも、マザーボードのレイアウト設計の見直しを余儀なくされるエンジニアには課題だった、と認めている。また、同社はVistaがTurbo Memoryをサポート可能になれば、マザーボードのレイアウト設計の見直しも始まる可能性があると述べる。同社によると、ハイブリッドディスクドライブの採用も同様に延期されているという。「H-DDには256Mバイトの内蔵メモリまでしか利用できず、大きな効果を得るには容量が小さすぎる。512Mバイトもしくは1Gバイトのメモリが利用できれば内蔵を検討する」という。
一方、Intelはソニーの懸念を即座に否定した。Intelの欧州担当モバイル製品プロダクトマネージャーであるKris Rodolf氏は5日、「Turbo Memoryは現行版Vistaでも動作する。(ソニーの)声明は正しくない。われわれはメリットを証明しており、顧客も現行版Vistaでそれを実感している」と語った。
本稿執筆時点でソニーの主張に対して、Microsoftからコメントは得られなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ