AMDは米国時間9月17日、2008年第1四半期にコアを3基搭載したデスクトップPC向けプロセッサを発売する計画を発表した。このチップは、「Phenom」ブランドで発売される計画だ。AMDは、2007年末までにPCメーカーに出荷予定の4コアデスクトップ向けチップにもPhenomのブランド名を付ける予定。
AMDのマーケティングおよび戦略担当バイスプレジデントであるBob Brewer氏によると、同社が3コアプロセッサの発売を決断した背景には、4コアチップに対する需要が低迷しているとの認識があるという。現在、4基のコアを活用できるデスクトップソフトウェアの数はさほど多くない。また、現在のPC市場の成長の大半を支えているのはノートPC部門だ。しかし同部門では、4コアチップの普及が進んでいない。
しかし、複数のアプリケーションを同時に使用する場合には、複数のコアを活用できるとBrewer氏は指摘する。よって、AMDは3コアプロセッサの価格を恐らく4コアチップよりも若干安い価格に設定したいと考えているだろう。
ここで、AMDが3コアチップを発売する真の理由を探る。
3コアPhenomチップは、4コアPhenomチップと基本的に同じであり、3コアモデルは単に稼動するコアの数が1つ少ないに過ぎない、とBrewer氏は認める。AMDが自社の4コアチップに採用したモノリシックな4コア設計の1つの欠点は、チップに1つでも製造欠陥が生じれば、4コアプロセッサ全体が台無しになる点だ。しかし、仮に3コアチップの新たなカテゴリを考案したとする。すると、1つのコアを不能にする欠陥を理由に廃棄を余儀なくされたであろう4コアチップを、突如、利益を生み出す製品に早変わりすることが可能になる。
このような事情から、AMDが同社初の4コアチップで得る利益についてはさまざまな憶測を呼ぶ可能性がある。同社のサーバ向け4コアプロセッサ「Barcelona」は、詳細不明の「技術的欠陥」が原因でリリースが予想より6カ月遅れた。これらの欠陥は、利益に関係するかもしれないし、関係しないかもしれない。どのチップメーカーも利益については語ろうとしないため、それを確かめるのは極めて困難だ。