Dellは米国時間11月5日、データストレージ事業を強化して事業範囲を拡充するために、EqualLogicを14億ドルの現金取引で買収する計画であると発表した。
EqualLogicはiSCSI規格に基づくStorage Area Network(SAN)システムを開発している。iSCSI規格は企業の既存のイーサネットネットワークで動作するように設計されており、企業はファイバネットワークを導入する必要がないためコストを低減できる可能性がある。
「当社の顧客は、今後数年間で過去に類を見ないほどのデータの増加を経験することになるだろう」とDell(本社:テキサス州ラウンドロック)の最高経営責任者(CEO)であるMichael Dell氏は声明で述べている。「iSCSI革命をリードすることは、DellがITの簡素化と仮想化を加速する上で助けになる」
仮想化ソフトウェアによってユーザーは1台のコンピュータで複数のOSを実行できるようになる。
PC市場でシェアを落としたDellは、ストレージ分野にますます注目している。
DellはEqualLogicのテクノロジをDell PowerVaultストレージラインの将来のバージョンに統合する計画であるが、EqualLogicブランドも現行および将来の製品に残す予定だ。
Dellは9月に小中規模企業向けの新しいストレージ統合システムを導入した。このSANアレイもiSCSI規格に基づいている。
EqualLogicはストレージ市場では比較的小規模な企業だが、iSCSI IPといった比較的新しい分野で、業界トップのEMCやNetwork Applianceに続いて第3位の地位にあるとJefferiesのアナリストであるBill Choi氏は指摘する。
「Dellは、イーサネットではiSCSIが使いやすいと感じている小中規模企業に対する販売量が多い」とChoi氏は言う。「Dellが自社のMD3000iを発表したのはiSCSI市場に初めて参入するときだった。同社はこの新しいテクノロジで事業を成長させようと考えており、iSCSIを専門とする先進企業であるEqualLogicを買収した」
IDCは、iSCSI市場が2011年までには60億ドル規模に成長すると推測する。8月に米証券取引委員会(SEC)に株式公開を申請したEqualLogicは、2007年の1〜9月期に9090万ドルの売上高を発表した。これは前年度の4480万ドルの2倍以上の数字だ。
ストレージはDellの売上高全体の4%に過ぎないことを考えると、この成長水準はDellの財務体質の強化に貢献するかも知れないとChoi氏は指摘する。