1999年に英国で設立された企業、MessageLabs。アンチウイルス技術を、ソフトウェアではなくサービスとして提供した世界初の企業として知られる。英国や米国では、電子メール などを対象としてセキュリティサービスを提供する“マネージドセキュリティサービス”のリーディングカンパニーとして有名だ。日本国内ではまだ知名度がさほど高くないが、その辺りの事情も含め、同社CEOのAdrian Chamberlain氏、同アジアパシフィック担当バイスプレジデント James Scollay氏、メッセージラボ ジャパン代表取締役 山本誠治氏の3氏に話を聞いた。
--メッセージラボの概要
(Chamberlain氏)
メッセージラボは1999年に英国で、Ben WhiteおよびJos Whiteという2人の兄弟によって設立された企業だ。設立時のビジョンは、「セキュリティビジネスはすべてインターネットに移行する」というもの。当時、セキュリティビジネスはデスクトップを重視して展開されていたが、1999年の時点でその後のインターネットの発展や重要性を見通していたということになる。
メッセージラボのサービスの基本的なアイデアは、ウイルスやワームをインターネット上で排除し、企業ユーザーのリソースやデスクトップに到達する前にせき止めるというものだ。インターネットのトラフィックが急増し、その重要性が高まる中、当社のソリューションは企業ユーザーが抱えるさまざまな問題を解決する手段となっている。
メッセージラボはこれまで順調に成長してきており、設立以来、年率50%の成長率を達成している。売上規模は1億5000万ドルで、ユーザー数は700万人、顧客企業数は1万6000社で、中には世界的な大企業も含まれる。現在は80カ国でサービスを展開している。
メッセージラボのサービスでは、自己学習型のヒューリスティックエンジンである「Skeptic」によってスパムやウイルスを排除し、インターネットのトラフィックを浄化するというものだ。いわば、汚れた水を流し込むときれいな水が出てくる「浄水器」のようなイメージとなる。
フィルタとして働くSkepticを大量のメールが通過していく。現在ではおよそ毎週15億通のメールを処理しており、この大量のメールからサンプリングされた不正コードや新種の攻撃に関するノウハウ、知識が日々蓄積されている。