The Wall Street Journal紙は、ドイツの巨大複合企業であるSiemens AGが富士通・シーメンス・コンピューターズ(FSC)から手を引くことを検討中であると、「この件に関して詳しい人々」からの情報として伝えている。
Siemensと富士通の合弁会社であるFSCは2007年に103億ドルを売り上げたものの、Siemensの最高経営責任者(CEO)であるPeter Loscher氏は全体としてFSCの業績に満足していないようである。FSCは米国では現在にいたるまで、Hewlett-PackardやDellとの競合を前にしてしっかりした足場を築くことができていない。
Siemensの広報担当者は米国時間8月6日、Forbes誌に対して「われわれは産業とエネルギー、医療の3分野に絞り込み、それらに専念していきたいと表明してきた」と述べたという。
Siemensは2007年の贈賄事件の後、利益の向上を目指しており、最近いくつかの資産を売却し、全社員の4%を解雇する計画も発表している。
一方、日本に拠点を置く富士通はさほど落胆していないかもしれない。同社の野副州旦社長は日本時間8月5日に行われた記者会見で、携帯電話事業はPC事業よりも収益性が高くなるだろうと述べている。このことは、FSCの全株式のうちSiemensが保有している50%に対して先買権を持っている富士通が、その株式の買い取りに興味を抱いていない可能性があるということを意味している。
1999年に設立されたFSCは、Siemensと富士通の欧州市場とアジア市場におけるそれぞれの強みを活かすことができず、調査会社Pund-ITのアナリストであるCharles King氏が6日に述べた言葉を借りると、結局「予測しがたく、進化の速いIT市場の穴にはまって失敗した」のだという。
The Wall Street Journal紙はある銀行家の言葉を引用し、9年間にわたって続いたFSCの企業価値が31億2000万〜46億5000万ドルであると伝えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ