富士通は3月9日、企業の知的財産部門や、技術者・発明者の研究時の特許調査を支援する特許検索SaaS「ATMS/IR.net(アトムス/アイアールドットネット)海外公報検索サービス」の販売を開始した。
企業が技術力を生かす上で特許は重要な要素となる特許は国ごとに管理されているのが現状。日本で取得したとしても国外では特許侵害となって海外企業などと訴訟に発展するケースが増加しているという。そのため、海外においてビジネス展開する企業や、研究を行う学者は、企業の動向把握や、海外特許の監視を強化していく必要がある。
富士通が発表したATMS/IR.net海外公報検索サービスは、こうしたニーズに対応するため、従来、国内における特許検索支援を行っていた「ATMS/IR.net」に新たに「海外公報検索」機能を追加し、国内調査と同様の操作性で海外特許の調査ができるようにしたもの。グループ会社のジー・サーチと共同開発を行っており、インターネットを通じたSaaS型で提供されるため、特許専用の自社システムの構築や運用作業がいらず、低価格で早期に特許公報検索システムを導入できるとしている。
米国、欧州、国際公開の特許情報をデータベースとして収録し、各国の特許庁などが公報する特許の一括検索、表示が可能。INPADOC(欧州WIPOが提供する72カ国のパテントファミリーと33カ国の法的状況が含まれる情報データベース)データを利用し、検索結果から海外パテントファミリー情報や各国の法的状況を確認できる。またファミリー情報はマップで表示することもできるほか、法的状況の変化やパテントファミリー情報のウォッチングもでき、海外特許を含めた迅速な対策検討やリスクの事前回避を支援するという。
優先権やパテントファミリー情報に日本の特許がある場合には、国内検索サービスと連携し、国内特許の明細書や最新の経過情報にアクセスできる。さらに米国、欧州、国際公開以外の公報については欧州特許庁「esp@cenet」と連携することで公報の内容を確認できるとしている。
ATMS/IR.net海外公報検索サービスの価格は月額15万円(2ID)より。同社では、2012年度末までに50社への販売を目標としている。