富士通は4月5日、農業法人やJAグループ、農業生産者を対象にした農業支援クラウドサービス「F&AGRIPACKシリーズ」の提供を開始したことを発表した。第1弾としてSaaSの「F&AGRIPACK 経営管理」と「F&AGRIPACK 栽培管理」を提供する。
F&AGRIPACK 経営管理は、農業専門の会計サービスであり、減価償却や従事分量配当など農業独自の会計処理機能を提供する。税理士の経営コンサルティングと組み合わせることで、適切な税務申告ができるとしている。富士通九州システムズが開発している。税別価格は、農業法人などを対象にした一般向けモデルが年間15万円から、税理士向けの税理士連携モデルが年間20万円から、となっている。
PC画面に表示される取引伝票と給与明細に入力するだけで、仕訳や源泉徴収までを管理できる。入出荷伝票の取引区分を選択するだけで伝票を仕訳できることから、会計に関する専門知識が不要となっている。発生主義での入力で自動的に決済伝票も作成される。会計や資産、給与の基本業務機能に加えて、年末調整、決算申告、経営診断の機能も提供する。
F&AGRIPACK 栽培管理は、農産物の生産履歴情報の管理、農薬基準に基づいた生産管理を担う。富士通北海道システムズが開発している。税別価格は、生産履歴基本サービスの場合、年間140万円からとなっている。
手書きで記入した記帳シートをOCRで読み込んで、生産履歴を記帳できるとともに、記帳シート保管の効率化や点検作業負荷を軽減できるとしている。また、法制度に対応した農薬使用基準照合機能で、農産物の安全性を確保できるという。生産履歴情報をもとに農産物の品質向上、生産の平準化の促進が図れるとしている。情報提供による早期の病害対策も実現でき、農業法人の経営の安定化を目指せると説明している。
富士通は、JAグループをはじめとする農業分野のサービス拡充とサポート強化を目的に「AGRIソリューションセンター」を設立している。約100人で構成される同センターには、グループの富士通北海道システムズ、富士通東北システムズ、富士通九州システムズの3社が参加している。