インテルは4月7日、ビジネス向けPCのプラットフォーム「インテル vPro テクノロジー」の新機能を発表した。vProは、インテルが2006年10月に発表したプラットフォームで、セキュリティ対策や運用管理の向上を目的としたソリューションを提供するビジネスPCの基盤となるものだ。
インテル 取締役副社長の宗像義恵氏は、「vProは継続的に進化してきた。2006年に発表して以来、2007年には仮想化技術への対応やノートPCへの対応を進め、2009年にはファイアウォール外からの運用管理も可能となった。2010年は、遠隔地からのPC制御とデータと資産の保護ができるようになった」と説明する。
今回強化された機能のひとつに、AES(Advanced Encryption Standard)向けの命令セットとなる「インテル AES-NI」がある。AES-NIは、AES対応の「インテル Core vPro プロセッサー・ファミリー」に搭載された新しい命令セットで、AESを使った暗号化および復号化処理をハードウェアで支援し、処理時間を短縮するという。Intel、インテルアーキテクチャ事業本部 副社長 兼 ビジネスクライアントプラットフォーム本部長のRick Echevarria氏は、AES-NIの効果の一例として、日立ソフトウェアエンジニアリングの「秘文AE Full Disk Encryption」にて100Gバイトのハードディスクを暗号化する時間が「AES-NI機能によって従来の63%に短縮できた」としている。
また、新しいvProでは「インテル アンチセフト・テクノロジー」(インテルAT)も搭載されている。これは、ノートPCの盗難や紛失時にシステムおよびデータへのアクセスを無効化するハードウェア技術だ。盗難が発覚した段階でリモート制御によってPCを無効化でき、PCが手元に戻った際にはIT管理者が設定した特別なパスワードを入力するなどして再度PCを有効化できる。
運用管理面で強化された機能としては、「リモートKVM(キーボード、ビデオ、マウス)」機能がある。これは、遠隔地からIT管理者がユーザーのPC画面を管理できる機能で、問題の起こっているPCに対し、ユーザーが直面したそのままの状態を管理者画面で再現し、遠隔にて調査ができるというもの。電源の立ち上げからシャットダウンまでの作業を完全に遠隔操作でき、物理的にPCのある場所まで訪問する必要もないという。
Echevarria氏は、vProを搭載したPCを出荷するPCメーカーが増えていることや、vProの採用企業数が拡大していることに加え、「vProに対応するソフトウェアソリューションとサービスが着実に増えつつある」と述べている。日本のソフトウェアベンダーの例としてEchevarria氏は、ワンビの提供する遠隔データ消去ソリューション「トラストデリート」がvProの新機能である「PC アラーム・クロック」機能を活用し、紛失したPCの電源が入っていなくても事前に設定した時間になるとPCを起動して重要なデータを消去する機能を追加したことや、NTTデータウェーブのPCリモートメンテナンスソリューション「WavePCMate」がすでに数千台規模の導入実績があることなどを紹介した。
Echevarria氏は、「使用年数が経過したPCは、管理面やセキュリティ面からもコストとリスクが増加し、生産性も低下する。新しいvProテクノロジを搭載したPCが今、数多く発表されており、2010年こそPCリフレッシュに最適な時期だ」と述べた。