日立製作所は6月29日、統合システム運用管理ツールの最新版「JP1 V9.5」を発表した。クラウドとオンプレミスが混在するハイブリッドクラウド環境を一元的に管理運用したいというニーズに応える製品。6月30日に発売する。
JP1 V9.5の特徴は、(1)クラウド環境の運用性向上、(2)サービスレベルの可視化、(3)スマートフォン対応――の3点に集約できる。
企業がクラウドに取り組む過程では、さまざまな問題が発生するが、中でも運用管理の効率化と一元化が大きな課題となる。IT部門の運用負荷を軽減するために一部システムをクラウド化しても、システムの監視自体は継続しなければならないことが多いからだ。
1つのツールで一元的に運用管理、監視できていたオンプレミスシステムから、一部を切り離してクラウド化することで、複数の監視対象ができてしまうことになる。
JP1 V9.5の特徴である(1)クラウド環境の運用性向上では、この課題に対応するため、パブリッククラウドとオンプレミスの一元的な監視やジョブ実行連携を新機能として加えた。まず、2011年中にWindows Azure環境との連携に対応する予定で、以後も著名パブリッククラウド環境に順次対応していく考えだ。
(2)サービスレベルの可視化は、「エンドユーザー目線でのサービスレベルの可視化」といえる。JP1 V9.5では、業務アプリやサーバなどの稼働状況を監視するだけでなく、サービス利用時の実際の応答性能などを可視化する。また、日立独自のストリームデータ処理技術を応用して大量データをリアルタイムに分析することで、過去のサービスレベル状況との違いを比較し、正常時と異なる挙動を自動的に検出して、サービスレベルの低下が顕在化する前に障害の予兆を検知することも可能になった。
JP1 V9.5では、新製品「JP1/IT Service Level Management」でサービスレベルの可視化を提供する。
(3)スマートフォン対応は、いわば「コンシューマライゼーションへの対応」とも言える機能。現在、企業の中には会社支給の携帯電話だけでなく、私物のスマートフォンやタブレットが溢れており、今後、管理負担はますます増大してくるだろう。
JP1 V9.5では、クライアント環境の多様化とも言えるこの課題に対して、PCやスマートフォンなどのIT資産の購入計画から運用保守、廃棄までのライフサイクルを一元的に管理し、IT資産の運用を統一化するT資産管理製品「JP1/IT Desktop Management」を新たに製品化、提供を開始する。