「Engine Yard Cloud」などPaaSを提供する米Engine Yardが日本法人を設立した。設立は3月14日。9月4日から日本市場での事業を本格的に開始した。
Engine Yard Cloudは、Rubyをベースにしたウェブアプリケーションフレームワーク「Ruby on Rails」上で稼働するウェブアプリケーションを載せられる。1つのスモールインスタンスで構成した場合、1時間当たり9円、月額でおよそ6480円から利用できる。利用できるデータセンターは米国東部のバージニアと西部のオレゴンと北カリフォルニア、欧州地域のアイルランド、アジアはシンガポールと東京、南米のサンパウロとなっている。
米Engine Yardのジョン・ディロンCEOは、salesforce.com、米Oracleに買収されたHyperionなどでCEOを務めた実績を持つ。
データベースとしてはPostgreSQLとMySQLをサポートする。Engine Yard CloudはAmazon Web Servicesが提供するIaaS「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」上で稼働している。Engine Yard Cloudの料金には、Amazon EC2の利用料も含まれている。
Engine Yard Cloudより大規模にスケーリングできるPaaS「Engine Yard Managed」も提供している。アプリケーション開発やシステム運用のサポートを受けられるのが特徴と説明する。
Engine Yard Managedは、米VerizonグループのTerremarkが提供するIaaS上で稼働している。Terremarkのデータセンターは米国や欧州のほか11拠点にあり、東京にも設置されている。Terremarkは評価基準の「SAS70 Type II」を所得している。Engine Yard Managedは、Engine Yardがすべてのインフラを管理している。
日本法人社長には、デジタルガレージなど日本で20年にわたる経験を持つティモシー・ロメロ氏が就任した
日本市場ではEngine Yard CloudとEngine Yard Managedに焦点を当てて提供する。Engine Yard自体は、PHPをベースにしたPaaS「Orchestra PHP Cloud」も提供している。Orchestra PHP Cloudは同社が2011年8月に買収したOrchestraが提供していたもの。この9月には、サーバサイドJavaScript「Node.js」も正式にサポートする予定であることも明らかにしている。
日本法人は日本語でのサポートを提供する。ウェブサイトからの直接販売に加えて、日本国内のSIerやIaaSベンダーとの間接販売も展開する。2013年末までに新規顧客200社獲得を目指す。日本法人の代表取締役には日本に20年以上在住しているというTimothy Romero氏が就任している。
Engine Yardは2006年に米サンフランシスコで設立。2011年度の売上高は2800万ドルと説明している。主要株主は、Benchmark、NEA、Amazonのほか、日本の住友グループのグループ会社であるPresidioなどがある。