デル 郡社長「シンプルで自動化されたソリューションが必要」

大河原克行

2012-10-12 18:31

 デルは10月12日、大阪市福島のホテル阪神 大阪でプライベートイベント「Dell Solutions Roadshow 2012 大阪」を開催した。

 同イベントは、企業や官公庁、研究機関、教育機関、医療分野などのCIO、情報システム部門、システム管理者、ITマネージャーのほか、デルのチャネルパートナーを対象に実施しているもので、7月3日に東京で開催された同イベントには1000人以上が参加した。今回の大阪でのイベントでは事前に530人が登録。昨年の開催規模を大きく上回ることになった。

 午後1時30分から行われたデルの郡信一郎社長による基調講演では「創造する力 真のエンドツーエンドソリューションとは」をテーマに、デルの最新製品を活用したソリューションなどについても説明した。

 基調講演の冒頭、郡社長は、昨年1年間に1.8ゼタバイトもの膨大なデータ量が全世界で生成されたこと、2015年までに現在の9.5倍にデータ量が増大すると予測されていることなどを示しながら、「こうした流れに対応するために、仮想化が標準の技術として活用され始めている。サーバのワークロードでは4割程度が仮想化されているが、これが2016年には8割のサーバが仮想化環境で運用されるようになる。また、クラウドでは2020年に19兆円の需要が期待されており、仮想デスクトップもクライアント全体の約2割を占めるだろう。今後はネットワークの仮想化が進展するなど、仮想化はますます進んでいく」と、現在から近未来のITを取り巻く環境について提示した。

 「こうしたなかでデルはなにを提案できるのか」

 郡社長はそう語りながら、「デルは創業から29年目を迎えたが、その間ずっと変わらないのがオープンであること。すべてのレイヤーにおいて、他社製品が接続できるような環境を持ち、オープン性、柔軟性を持っている。これはお客様にとってプラスになることだ。また、拡張性も大きな特徴である。事業環境の変化、技術の変化が進展するなかで、システムの拡張性は最新の技術をタイムリーに導入するという点でも大変重要な要素になる。さらに、ITが複雑化するなかで、いかにシステムをシンプルに導入し、運用するかが課題であり、妥協しない機能性を実現しつつ、シンプル化していくことにも取り組んでいる。そして、デルはエンドツーエンドソリューションの選択肢を提供する。ユーザー企業が置かれている事業環境や課題解決を考えれば、幅広い選択肢が必要である」とする一方、ここ数年の買収事例を示しながら、「エンタープライズ、サービス、EUC(エンドユーザーコンピューティング)といった領域において、デルは2012年だけで6社を買収している。これは進行形であり、まだ完成していない」として、今後も買収戦略を推進する姿勢を示した。

 デルが提供するソリューションの例として「セキュリティニーズを満たすソリューション」を紹介。セキュリティ監視ツールの「SecureWorks」、管理ツールの「KACE」、シンクライアントの「Wyse」などを活用する一方、セキュリティのコンサルティングチームが持つノウハウを活用して提案していく事例を示した。

 さらにエンドツーエンドソリューションとして「製品」「サービス」「クラウド」の3つの観点から説明を行い、「デルは柔軟なデリバリーモデルを用意している。オプション設定やカスタマイズ対応、サービスのモジューラー化などを図ることで、柔軟性を実現している。また、パートナーを通じた販売チャネルを活用し、多様化するニーズに対応すること、リファレンスアーキテクチャを作り、パートナー、ユーザーに対しても、その中身が見えるようにしていくことなどが特徴である」などとし、特にサービス面に関しては「他の国ではオプションとして提供しているプロサポートを、日本では標準で提供している。また、設計、導入、構築、さらには上流コンサルティングまでを、世界90カ国においてカバーできるワールドワイドサポート体制を持っている点も強み。デルの全世界約11万人の社員のうち、約4万3000人がサービス分野の社員。7カ所のグローバルコマンドセンターからも24時間365日の手厚いサポートができる体制を整えている。そうした成果もあり、第三者の評価機関からはデータセンターアウトソーシング、セキュリティ監視サービス、ヘルプデスク、デスクトップのアウトソーシングなどにおいて、世界ナンバーワンの評価を得ている。日本のあるユーザー企業では、5000台のクライアントPCのうち約6割を海外で利用しており、これらのユーザーに対してデルがヘルプデスクサービスを提供している実績もある」などとした。

 また、クラウドコンピューティングについても言及。「デルはパブリッククラウドとプライベートクラウドを提供している。クラウドの導入においては、セキュリティの確保を課題とする企業が多いが、そうしたニーズにも十分に対応できる環境を整えている。オンプレミスとクラウドのデータを連携するようなサービスも用意している」としたほか、「オンデマンド仮想デスクトップのvDaaSは、米国でサービスを開始しており順次提供を開始していく」と語った。

 さらに「クラウドコンピューティングの世界では標準化が大切である。これを明確にしていくのも当社の役割であると考えている。現在、オープン・スタンダード・クラウド・アソシエーションを展開しており、エコシステムを形成する企業と一緒になって標準化の検討を進めている」などと語った。

 講演の最後には「お客様と共に歩む」というスライドを示しながら、「デルはハードウェアとソフトウェアだけでなく、お客様と一緒に考えることが大切であると考えている。お客様と一緒に考えることで、即効性のあるソリューションを提供していくことができる。今後も信頼されるITアドバイザーになることを目指し、ITの観点からお客様の成長に貢献することを考えていく。ITシステムの課題は、構築に時間がかかる、そしてシステムが複雑であるという点。ITコストの7割を運用にかけているという状況を改善しなくてはならない。そのためには、シンプルであり、自動化されたソリューションが必要である。デルはこれをエンドツーエンドで提供することができるベンダーである」などと語り、講演を締めくくった。

 一方、基調講演のあとには、製品やサービス、導入事例に関する講演が行われたほか、展示会場ではデルのほかにパートナー各社のソリューションなどが展示され、製品のデモストレーションなどが行われていた。

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