IDC Japanは3月18日、国内企業の通信サービス利用の調査結果を発表した。2013年度にデータ通信予算が増加する最大の理由は、2012年度調査と同様に「モバイル対応を進めるため」であり、増加すると回答したユーザーの約4割を占めている。
続いて「クラウドやデータセンターの利用が増えるから」で約4割弱。2013年度も引き続きモバイル、クラウド、データセンターへの関心が高いと分析している。
IDC Japanは継続的に調査を実施。WANやブロードバンド、モバイルといった通信の利用状況、予算の現状、海外でのWAN接続状況が調査の対象。今回から、国内外でのデータセンターやクラウドの利用比較、マルチネットワークの活用動向、M2M(Machine to Machine)への関心度といった新分野も調査している。
今回の調査では、通信コストの合理化などを目的に、モバイルを中心にマルチネットワーク活用の検討が進んでいることが明らかになっている。たとえばテザリングの活用は大企業の約1割に採用されており、データ通信利用容量制限付きのSIMなどについても、一部の企業で導入が進んでいるという結果が明らかになった。
国内のデータセンターやクラウドに接続する海外拠点があるという回答が約4割に達している。そうした接続拠点数の今後3年間の増減見込みを国内と海外で比較した場合、国内の拠点数が増加する見込みという回答は3割程度。対して海外の拠点数が増加する見込みという回答は約5割に達している。これらの結果から今後、データセンターやクラウドについて、国内外の間でのシームレスな運用に対するニーズが増加することが考えられるとしている。
「Arcstar Universal One」(NTTコミュニケーションズ)や「Wide Area Virtual Switch」(KDDI)のようなクラウド利用を前提とし、通信回線だけでなく、付随するレイヤサービスも含めた、統合型WANサービスに対する需要が高い傾向にあると説明。現在利用中のWANサービスの今後の利用意向について、統合型WANサービスの既存ユーザーの約4割が、今後も利用を拡大する意向を示している。IDC Japanの鳥巣悠太氏(コミュニケーションズリサーチアナリスト)が以下のようにコメントしている。
「今回の調査結果から将来展望として“モバイルを中心とした多様なアクセスプランへの需要増加”“国内外でのデータセンターやクラウドのシームレスな利用への需要増加”“上位レイヤサービスまでカバーする統合型プラットフォームへの需要増加”の3つが浮き彫りになっている。WANユーザーのニーズに沿った多彩なアクセスプランを包括的に提供する必要性と、上位レイヤサービスでOTT(Over The Top)に対抗するためのプラットフォーム戦略の必要性が重要になってくる」
2013年度にデータ通信サービス予算を2012年度より増加させる理由(出典:IDC Japan)