インターネットおよびモバイル化の進展、画像や映像の高解像度化など、メディアの技術的な発展に伴い、データ量が爆発的に増加することは、数年前から予測されていた。
これを数字にしてみると、その深刻さをより理解できるだろう。日本のテレビメーカーが「次こそ失敗しない」と意気込む4Kテレビ。表示パネルの画素数が、現在のフルハイビジョンの4倍になるという。高画質が追求されている一方、放送局などのメディアエンタテインメント系企業にとって、4Kテレビ向けコンテンツの保管は課題になりそうだ。
日本クアンタムストレージの代表、石井和彦氏
ストレージ製品を提供する米Quantumの日本法人である日本クアンタムストレージの代表、石井和彦氏は「4Kテレビでは1秒間に1.2Gバイトという大きなデータが発生し、それが24フレームに分かれている」とする。
データが大量にあることを「ビッグデータ」だと説明する場合、いくつかに分類できる。センサなどによる小さなデータが大量にある場合と、テレビ番組など1つ1つのファイル自体が大きい場合だ。後者は特にテレビ番組などを制作、管理する企業などにとって関わりが深い。
こうしたファイルを扱う際のメディア企業の仕事の流れは一般的に、取り込み、編集、配信、アーカイブ、長期的なオフサイトでの管理など。この仮定において、パフォーマンスのボトルネック、さまざまな場所でのコンテンツ管理、再利用のための頻繁なアーカイブ、安全な資産保全の実施といった課題があり、ファイルが大きい分だけ、トラブルが発生しがちになるという。
石井氏によると、メディア企業だけでなく、無人偵察機を飛ばす国防および政府機関、ライフサイエンス、米国で話題になっているシェールガスなどの資源探査にも、こうした事情が当てはまるとのこと。
こうした大きなデータの扱いは、今後さらに多くの業界で課題になりそうだ。データの保管を効率的に実施するために、技術的にはどんな工夫があるのか。
テクニカルアドバイザーを務めるSteve Johnson氏
石井氏と米Quantumでビッグデータに絡む案件でテクニカルアドバイザーを務めるSteve Johnson氏は自社のストレージ製品シリーズである「StorNext」をアピールしながら、技術的な説明を加える。
「通常2Kや4Kテレビでは、映像ファイルなどがフレームごとに、ストレージのさまざまな場所に分割して保管されてしまう。一方で、StorNextでは事前にどんなファイルがあるのかを予測し、フレームごとのファイルを連続して保存できる」(Johnson氏)
ファイルが連続した領域に確保されるので、結果として、より高速なファイルアクセスが可能になり、全体のスループットを正常な状態に保てるという。
世界では、Microsoft、DellなどのIT企業、BBCやFOXなどのメディア企業など、8万5000社以上の顧客を抱えるQuantum。ストレージ業界での長い経験を武器に、ストレージへの需要の高まりと、自社の技術力と製品力により、さらなる事業拡大を目指す考えだ。