日本オラクルは10月21日、「エンジニアド・システムズ最新情報に関する説明会」と題した記者説明会を開催した。
米Oracleのシステム・テクノロジー担当シニア・バイスプレジデントホアン・ロアイザ氏
米Oracleのシステム・テクノロジー担当シニア・バイスプレジデント、ホアン・ロアイザ(Juan Loaiza)氏が、垂直統合型システム「Oracle Exadata」の概要と、データベース導入の新しいアプローチ「Enterprise Database as a Service(Enterprise DBaaS)」のキーとなる3つのポイントを紹介した。
Loaiza氏は、1988年からOracle Databaseの開発に携わり、現在は、Oracle Databaseにおいてトランザクション管理やHA、パフォーマンス、バックアップ/リカバリなどミッションクリティカルな機能の開発と、Exadataの開発責任者を務めている。DatabaseおよびExadataのこれまでとこれからを知る人物だ。
数千の導入実績を持つExadata
同氏はまず、2008年にリリースしたExadataについて「非常に成功しているオラクル製品で、サーバ、ストレージ、ネットワークを統合したOracle Databaseに最も適したプラットフォームだ」と紹介した。
特徴としては、大量のデータベースサーバをスケールアウトできるアーキテクチャを持つこと、Exadata固有のソフトウェアによりデータベースからストレージ、Flash、ネットワークを活用できること、高速で信頼性が高いこと、サポートが充実していることオンライントランザクション処理(OLTP)やDWH、クラウドといったすべてのデータベースワークロードに適していることなどがあるとした。
「大手企業を中心に数千の導入実績がある。半数はデータウェアハウスとして利用しているが、半数はオンライントランザクション処理(OLTP)やその他ワークロードが混在した環境で利用している。Oracle Databaseを使う既存のアプリケーションがそのまま動作するため、新しいアプリケーションを開発しなくて済む。例えば、SAPなどの業務アプリケーションや金融取引、eコマースサイトなどで利用されている。数百のデータベースを統合したケースもある」(Loaiza氏)
Exadataのこれまでの発展の流れとしては、2008年にデータウェアハウス、2009年から2010年にかけてOLTPやFlashアーキテクチャへの対応、2012年にかけて混在ワークロードやデータベース統合などと機能を拡張してきたと説明。その上で、現在取り組んでいるデータベース導入のための新しいアプローチが、Enterprise DBaaSだとした。
データベース導入の新たなアプローチ「サービスとしてのデータベース」
Loaiza氏によると、これまでのデータベース導入における課題は、アプリケーションとデータベースを別々に導入してきたことにある。なぜ別々に導入してきたかというと、それがパフォーマンス、可用性、セキュリティを担保するための現実的な方法だったからだ。だが、こうしたアプローチにより、環境は複雑化していった。
例えば、データベース専用システムの数が増加し、サーバとソフトウェアが拡大するなかで、人件費、ハードウェアコスト、ソフトウェアコストは増えた。また、そのサーバやデータベースの保守やOSのパッチ、バックアップ、監視などの保守コストも増えた。そんな中、大手企業を中心に、1つのプラットフォーム上でハードウェアやソフトウェアを統合するEnterprise DBaaSのアプローチに対する関心が高まってきたのだという。
「Enterprise DBaaSは、ハードウェアとソフトウェアを統合、仮想化し、管理の手間とコストを大幅に軽減するものだ。シンブルで標準化されたクラウド環境であり、パブリッククラウドと同じようなインサイトを提供できる。例えば、ウェブベースのセルフサービス・データベース・プロビジョニング機能を使って数分でデータベースをプロビジョングできる。
また、混在ワークロードのQoS(サービス品質)を確保したまま、パフォーマンス、可用性、セキュリティを向上させることができる。従来のアプローチで起こりがちだったトレードオフとは無縁だ」(同氏)
Enterprise DBaaSを実現していくためには、クラウドアーキテクチャをベースにしたプラットフォーム、データベース、ライフサイクル管理の3つの要素が欠かせないという。Loaiza氏はそれぞれについて、「クラウド・アーキテクチャ・プラットフォーム」を実現するためのExadataプラットフォーム、「クラウド・アーキテクチャ・データベース」を実現するためのDatabase 12cのマルチテナント・アーキテクチャ、「クラウド・ライフサイクル管理」を実現するためのOracle Enterprise Manager 12cによる包括的なライフサイクル管理がキーポイントになると主張した。