一般社団法人のOpen Knowledge Foundation Japan(OKFJ)は2月4日、日本のオープンデータの現状や今後の展望に関する記者発表を開催した。オープンデータを推進する同団体の設立やこれまでの活動の経緯、日本のオープンデータの現状については代表理事の庄司昌彦氏が、日本政府データカタログサイトの現状と展望については、内閣官房情報通信技術(IT)担当室主幹の早田吉伸氏が、 オープンデータを活用して地域のITコミュニティを通じた課題解決を支援する一般社団法人のCode for Japanについて副理事長の高木祐介氏がそれぞれ説明した。
日本も本格的に動き出したオープンデータ
オープンデータとは、政府や行政などが保有している情報に対して、誰もが利用でき二次利用可能なオープンライセンスのデータを指す。2012年の政府IT戦略本部の「電子行政オープンデータ戦略」発表後、日本における公共データのオープン化や先進的な取り組みの共有、普及のために2012年7月にOKFJは設立した。
Open Knowledge Foundation Japan 代表理事 庄司昌彦氏
2012年の電子行政オープンデータ戦略は「行政の透明化・信頼性の向上」「国民参加・官民協働」「経済活性化・行政効率化」といった目的が掲げられ、情報通信技術とデータ活用を通じたオープンガバメントを推進しようとする取り組みである。世界的にも、2009年の米国米Obama大統領による「透明性とオープンガバメントの覚書」によって政府データポータルサイトなどが開設された。英国でも、2007年から公共データの再利用の取り組んでおり、Open Knowledge Foundationも設立した。「2013年には、G8オープンデータ憲章の合意がなされるなど、世界的にもオープンデータの取り組みは推進されている」(庄司氏)
世界各国でコンテストやデータポータルサイトの開設などの取り組みは加速しており、日本でも2013年には「世界最先端IT国家創造」宣言を発表し、オープンデータを積極的に推進するといった方針を打ち出しており、政府主催のイベントやコンテストも活発に開催されているという。
庄司氏は、政府が所有するデータをオープン化することで、新しいビジネスを創発できるという「GtoBtoBtoC:Goverment to Business to Business to Consumer」を説明した。例えば、行政府が保有しているデータをマーケティング会社など分析に強い企業が受け持ち、そこで得た知見をもとに別の企業が消費者向けのビジネスを展開するという動きだ。米国では政府データを基に農作物の収穫を妨げる天候に対し、保険会社が収入を保証する農家向け商品が開発されるなど、オープンデータを活用したビジネスチャンスが大きく期待されている。
日本でも総務省や復興庁、気象庁など関係各機関もオープンデータを進めているが、データ公開に対する必要性の不明瞭さや膨大なデータのオープン化にコストがかかるといった課題が挙げられると庄司氏は語る。こうした課題を解決し、利用や活用を普及していくためには、公開することの意義を発掘すること、開発者のイベントやコンテストでの開発協力の推進などが必要という。
「データがデータとしてあるだけでなく、データを必要としている需要者のニーズを把握し、情報公開を政府機関に働きかけることが必要であり、日々そのための場作りをしている」(庄司氏)